だらだら日記
基本的に結構カオスなつれづれ日記。同人耐性のない方はご遠慮ください。
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風に乗って(00)
きっとアレティエです。
しかし、日を追うごとにティエリアのイメージが崩れていって……いやいや幅が広がっていっているような気がする。
拍手いただいている方はありがとうございます(礼っ!)
風に乗って
最近、ティエリアの様子がおかしい。
今現在、ガンダムマイスターの四人は、王瑠美の所有する別荘の一つに滞在していた。
次のミッションに向けて、骨休めを兼ねた待機状態は既に一週間になろうとしている。
こうも長いこと自由な時間が取れるのは珍しくて、落ち着かない。
日を追うにつれて手持ち無沙汰になってきたアレルヤは、日課となっているトレーニングを終えると、恋人でもあるマイスターのことをぼんやりと考えながら広大な庭を散歩していた。
咲き誇る南国の鮮やかな花々は美しく、目に楽しい。吹き抜ける風も心地良い。こうして何をするでなく過ごす時間も、アレルヤは嫌いではない。
けれど、折角の自由時間なのに、ティエリアとあまり一緒にいられないのが、残念。
二人が恋人関係であるとはいえ、ここには刹那やロックオン、別荘の使用人の目だってある。
二人の関係は仲間にはとうに知れていたのだけれど、それでも意地のようなものだろう、それにそもそも実態は何であれ名目上は『待機状態』なのだからなのかもしれないが、ともかく昼間からべたべたしようとすると露骨に嫌がられた。べたべたしなくても嫌がられた。アレルヤと一緒にいる所を誰かに――特に刹那なんかに――見られるのが嫌なようなのだ。
まあ、地上が嫌いなティエリアは、地上に降りてからずっと調子が悪そうだったし、最初の数日は自分の部屋から出ようともしなかった位。
そんな彼を余計に煩わせるようなことはないようにと、アレルヤはアレルヤなりの時間の過ごし方をしていた。
寂しいけれど、夜に部屋をこっそり訪ねるのは許容してくれているし。アレルヤが顔を見せると、ティエリアは何だか不機嫌そうな顔をして、それでも招き入れてくれる。
不機嫌そうなのは嫌だからじゃない。嫌だったら招き入れたりしないだろう。だから、きっとあれは照れ隠しなんじゃないかとこっそり心の中でだけ思っている。
だから、昼間にティエリアが何をしているのかは知らない。
ただ、最近、ティエリアの様子はおかしいのだ。
態度はいつもと変わらない。いつもより疲れているようなのは苦手な地上だからかもしれない。
けれどここ数日、夜になって二人きりで会う度に気付くのだ。
ティエリアの身体に、小さな傷が増えているのを。
それは主に打ち身だったり、時には小さな擦り傷だったりする。それが主に肘や膝や、そんな所にできていて、日に日に増えていっている。普通に暮らしていても、トレーニングをしても、あんな風な傷のつき方はしないような気がする。
ティエリアは、何かを隠している。
けれど、それが何かは教えてくれない。問いかけてもすぐに黙り込んでしまうのだ。
おかしい。気になる。
けれど、例えば尾行なんかするにしてもティエリアはすぐに気付いてしまうだろうし、そもそもそれがバレた時のことを考えるととてもそんな勇気は出ない。
ロックオンたちにさりげなく探りを入れてみたが、誰も昼間ティエリアがどこで何をしているのか知ってはいないようだった。
やっぱり、気になる。
けれど考えても埒が明かない。広大な庭の一角の小さな森とも呼べる空間へと道を辿って足を踏み入れながら、アレルヤは溜息を吐こうとして。
そこで、背後を何かが過ぎていく気配に振り返った。
「え……」
今自分の後ろを、普通に走るよりも速いスピードで過ぎ去っていったのはティエリア、だった。
たとえ一瞬でも彼を見間違えるはずがない。
けれど、何であんな――あ、あっ、転んだ!
がしゃん!
「ティエリアっ!」
隠れていたことを忘れて慌てて声を上げ、彼の元に駆け寄る。ぎょっと驚いたようでティエリアは顔を真っ赤にして立ち上がると、何を思ったのかその場から逃げ出そうとして、また転んだ。
そして再び立ち上がる気力はないらしく、己の見せた醜態に打ちひしがれるように地面に座り込んでいた。
アレルヤはすぐに傍に膝をついて、次にどうしようか迷いながらティエリアと、すぐ傍に倒れ込んだままの『それ』とをちらちら交互に見遣った。
「ティエリア、怪我はない? 大丈夫?」
「……」
小さく首が下に動いた。さっきの感じだと足を捻っていてもおかしくないのだけれど、それを指摘して意固地になられても困る。
とりあえずは冷静に――彼に言わせれば自分はいつでも冷静だ、と言いそうだけれど、ティエリアは結構すぐに感情的になるんだから――なってもらって、怪我の様子を見るのはその後だ。
アレルヤが心配の目を向けていると、俯いたままのティエリアは不貞腐れたような声で。
「……何でこんな所に来たんだ」
「散歩してたんだけど」
「……」
「それよりも何で君、こんな所で……自転車に乗ってるの」
「……」
アレルヤに見つかったのが心底悔しかったのだろう、ティエリアは顔を背けながら口を曲げた。あえて、さっきまで自分が乗っていた――乗りこなそうとしていた車体とは反対を向いて。
そう、それは一つの、いわゆる、自転車だ。
形はマウンテンバイクに近い。この別荘にはサイクリングコースもあるから、それ用に何台か自転車が置いてあることも知識としては知っていた。
それがまた、何故、ティエリアが。
それは、ティエリアの運動神経は悪くない。けれど彼がトレーニング以上に身体を動かす所なんてほとんど見たことがなかった。ちょっと暇だからサイクリングに洒落こもうとか、うん、イメージできない。
「……ていうか、自転車、乗れたの?」
「っ…………」
あ、図星だ。
ガンダムマイスターたる者、ガンダムだけでなく大抵の乗り物の操縦はこなせるように訓練を受けている。それこそ単車や自動車、果てはトレインやセスナまで。
だが、しかし。
確かに、自転車、というものは必須項目には含まれていなかった気がする。
それでもさっきも言ったとおり、元々ティエリアの運動神経は悪くはないのだ。
しかし、重力との相性は最悪に近いものがあるのも確かで。さっきの様子を見るからに、やっぱり自転車には上手く乗れないようだ。
でも、バイクの運転はできるはずなのに、自転車だと何でこうも上手く行かないんだろう。
……多分本人もそう思っているんだろう。だから、躍起になってこうして……もしかしたら数日前からずっと練習して、いたんだろうな、きっと。
ずっと、一人で。皆から隠れて。それで、一から、さっきみたいに走れるように――スピードを出しすぎて上手く止まれなくなったみたいだけど――なって。
すごい、ティエリアは努力家だなあ。
アレルヤが素直にそう思ったのは性格か、それとも惚れた欲目かは知れないが、そんな風に一人で和んだ彼へと、ティエリアはじとーっとした目を向けていた。
「君は乗れるというのか?」
「えっと、ちょっと貸してね」
言うとアレルヤは倒れた自転車を立て直し、見よう見まねでそれに乗った。
実は、自分も自転車は初めてのアレルヤである。
が。
あ、乗れた。
あ、走れた。
あ……しまった。
そこらを一回りして、ほとんどよろけることも転びかけることもなく、綺麗にブレーキをかけて止まってからアレルヤは、
「れ、練習すればティエリアもすぐに乗れるようになるよ……?」
「…………何故疑問系なんだ」
更に機嫌を損ねたようなティエリアに、ぎこちなく笑いかけるしかなかった。
(続きを書こうともしたけどまとまらないので一旦ここで筆を置きます)
(自転車で転ぶティエリアが書きたかっただけという話でもある)
(あと運動神経の塊アレルヤ)
(……しかし何故自転車!)
(かっこいい人は普通のことをするだけでも何かおかしく見える、というのを地で行っている気がするよティエリア)
(タイトル何も考えずつけましたすみません)