だらだら日記
基本的に結構カオスなつれづれ日記。同人耐性のない方はご遠慮ください。
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贈り物を君に(00)
だって今日がティエリア誕生日(仮)おめでとうの日だからっ!!
勢いに溢れたアレティエ小話です~。これまでに書いた話と被っているところがあるかもしれないですが、そういうのは自分で好きなシチュなんだよってことで大目に見てください……。
あと、一応誕生日は絡みますが、ハッピーバースデーって話かというと……??? そして更に、そんなに甘くないという……?
えっと、とにかく、アレティエ可愛いよアレティエ。
ティエリアおめでとう!
勢いに溢れたアレティエ小話です~。これまでに書いた話と被っているところがあるかもしれないですが、そういうのは自分で好きなシチュなんだよってことで大目に見てください……。
あと、一応誕生日は絡みますが、ハッピーバースデーって話かというと……??? そして更に、そんなに甘くないという……?
えっと、とにかく、アレティエ可愛いよアレティエ。
ティエリアおめでとう!
「ティエリアはさ、何か欲しいものとかは、ない?」
深い眠りに入る直前。うとうととしたまどろみの中に、聞こえてきたのは優しい声音でのそんな問いかけ。
肌を重ねた後の倦怠感は重く身体に残っており、睡眠という休息を切実に求めている。
だから瞼は伏せたまま、ティエリアはきっぱりとアレルヤに言い返した。
「特にない。俺が望むのは、ソレスタルビーイングの計画の成就。それだけだ」
「ほ、他には?? ティエリア自身が欲しいものとかはないの?」
「ソレスタルビーイングのために欲しいものはある。自分自身で欲しいものは……これと言って無い」
「本当に? 何もないの?」
おずおずと、けれど引き際悪く問いを重ねられて、ティエリアは不機嫌そうにぱちりと目を開けた。
薄ぼんやりとしたルームライトの下、何だか困ったようなアレルヤの顔があった。
「……何だ、しつこいな。そう言う君は何か欲しいものでもあるのか?」
どうせ無いくせに。
人を無欲と言いながらも、アレルヤだって同じだろうに。
それを言い返せば、アレルヤは一気に黙り込んでしまった。
一層眉尻が下げられて、まるで叱られた犬のような表情になっていく。
そら見ろ。自分が答えられないことを人に問うな。
言葉が返らないのを良いことに、ティエリアは欠伸を噛み殺しながら、再び眠りにつく体勢に入る。意識せずにもぞもぞと動いて、隣にある体温により近く寄り添えば、仕方ないなという溜息と共に、そっと背中に腕を回された。
薄れ行く意識の中にその温もりを感じながら、眠りに落ちていく。
それで、その一連の会話は終わり。
それは単なるピロートークのうちの一つに過ぎないものであった。
――その、はずであったのだが。
「ティエリア、何か欲しいものある?」
「ない」
翌日。オペレーターの少女との出会い頭に、控えめに、けれど率直に投げかけられた問いに、辟易したようにティエリアは短く答えた。
「何も、ないの?」
「ああ」
「そう……」
きっぱり言い切ると、彼女は残念そうに肩を落としながらティエリアの隣を過ぎていった。そして廊下の角を曲がったところで、音量を抑えた、けれどよく響く声がきゃあきゃあ何か言っているのが聞こえてきたのをあえて無視して遠ざかり、ティエリアは自分の部屋に戻るルートを辿っていった。
(一体、何だと言うんだ……)
もう、今日何度目になるか分からない。同じ内容を、言い回しと問う主を変えて、何度も聞かされていた。
ロックオン・ストラトスやスメラギ・李・ノリエガにイアン・ヴァスティ、それにリヒテンダール・ツェーリやクリスティナ・シエラ、そして果てには今はフェルト・グレイス。
今朝から、何故か艦の皆がこぞって、昨夜のアレルヤと同じことを訊ねてくる。
それが全くの偶然であると思うほどティエリアは馬鹿ではない。
明らかにこれは、あの時のアレルヤの質問から始まったものだ――というか、ティエリアのいないところでアレルヤがクルーに相談でもしたのだろう。さっきもひそひそ話しの中にアレルヤの名前が出てきていたのを確認してある。皆が皆して手を変え品を変え、ティエリアの欲しいものを聞き出そうとしてくる。それは、アレルヤが知りたがっているかららしい。
しかし、無いものは無いとしか答えられまい。何を隠しているわけでもない。昨夜アレルヤに答えたことが全てなのだ。
自身が物にこだわるようなことはない。衣食住、全て組織で十分に揃えられているし、ヴェーダが存在すればそれ以上にティエリアが望むものは無い。あえて言えば、他のマイスターやクルーへの不満、改善希望はあるのだが、それは「欲しいもの」という問いかけの趣旨とはまた違うだろう。
そんなもの、無い。それがティエリアの答えなのに。そう、何度も答えていると言うのに、一体何でそんなにこだわるのだろうか――朝から重ねられてきたその変わらぬ問いかけに、ティエリアのイラつきも、いい加減ピークに達しようとしていた。
そこに。
「あ、ティエリア!」
廊下の反対側から歩いてきた彼が浮かべた笑顔を見て、いよいよティエリアの中で何かがぷちっと切れる音がした。
一気に間をつめると、その腕をしかと掴む。
その後ろにいたらしいロックオンが驚くのが見えたが、それはどうでもいい。
そのまま腕を引いてその場を離れれば、アレルヤは不思議そうにしながらも大人しくティエリアに従ってきた。
そして、自室に入るや否やティエリアは、
「アレルヤ。何でそんなに人の欲しいものを知りたがる」
引いていた腕を離して、代わりに腕組みをしながらアレルヤを見上げて彼に問いかけた。
突然のことにきょとん、としていたアレルヤは、ああ、と一人得心したように頷くと、照れ臭そうに笑みを浮かべた。
「皆に相談して協力してもらってるの、バレちゃった?」
「あれでバレない方がおかしいだろうが」
「そうだね、ごめんね」
控えめに首を傾げてみせる彼に、余計苛立ちが募る。壁際に追い詰めながらきりっと睨みつけると、肩を竦めて後ずさるアレルヤも真剣な表情になった。
「それで、何故だ」
「だって。誕生日に、何をあげたらいいんだろうって思って」
……その言葉を理解するのに、少しの間が空いた。
瞬きを一つ。その後目を瞠ったまま、ティエリアはもう一度問いかける。
「……何?」
「ティエリアの欲しいものを、プレゼントしたかったんだ」
「……ぷれぜんと?」
何を言っているんだこの男は?
理解できない言葉を聞いているかのように目を瞬かせるティエリアに、アレルヤは苦笑した。
「本当は、聞かないで自分で考えてプレゼントした方がいいんだろうけれど。でも、それで君に本当に喜んでもらえるか分からなくて」
「待て。そもそも何故誕生日などという言葉が出てくるんだ」
組織のメンバーはお互いのプロフィールも秘されているはず。そもそも特別な存在であるティエリアは尚更データが明らかにされていないもので。だから、アレルヤがティエリアの誕生日などを知っているはずがない。
「あ、ティエリアは教えてくれないと思ったけど、でも一年のうちのいつかは誕生日なはずだから。だからスメラギさんと相談して、ティエリアの誕生日を決めて祝おうってことになって」
「勝手に決めるな」
「じゃあ、教えてくれる?」
「黙秘する」
「だったら、仕方ないじゃないか」
君は僕の誕生日を知っているのに、僕は君の誕生日を知らないんだから。
ぬけぬけと言われたのには、君の誕生日は守秘義務を破って勝手に君が口に出したんだろうが!
鋭く言い返したが、いい加減数年の付き合いになるからこその慣れであろうか、アレルヤは大して堪えた様子がなかった。そのままの表情で、今度は少し違った問いかけをしてくる。
「それじゃ、ものじゃなくても、何かして欲しいこととかはない?」
「は?」
「欲しいものじゃなくて、僕にして欲しいこと。それだったら何かないかな?」
君を喜ばせたいんだ。そんな、ティエリアには理解できない願いを持って発せられた問いかけに、ティエリアの脳内にはいくつもの言葉が思い浮かんだ。
けれどそれは声には出さず、浮かんでは消えた。
色々とあるはずなんだ。アレルヤに求めることは。
けれど、そんな期待する目で、何か出来るのが嬉しいと言うような目で見られて――何も、言えなくなってしまった。
それでも、何も言わないのも癪で。
「アレルヤ、」
短く、呼びかける。するとそれだけで分かったかのように、背中に回される腕。
抱き寄せられてそっと上を向くと、当たり前のように重なった唇。
もう何度も重ねてきた行為。互いの目を見るだけ声を聞くだけで、欲していることが分かる位に。
そしてそっと離れていった彼の頬を両手で押さえつけながら、真正面からその目を見据える。
「……これで、いい」
「これで? でも、いつもしているじゃないか」
「君が、何かして欲しいことはないかと聞いたんだろう」
だから、これでいい。
そう、欲しいものは無い。
今、あるもので十分に。
ぽすっと、厚い胸板に顔を埋める。
好きだ。こうしていることが好きだ。この男が、――好き、だ。
だから。
こうしていられる今だけで、それで十分に満たされる。
欲しいこと、欲しいもの。
それはきっともう既に、この手の中にあるのかもしれないと、ぼんやりと考えながら、彼の鼓動を感じていた。
――それは彼がまだ、失うことを知る前の話。
深い眠りに入る直前。うとうととしたまどろみの中に、聞こえてきたのは優しい声音でのそんな問いかけ。
肌を重ねた後の倦怠感は重く身体に残っており、睡眠という休息を切実に求めている。
だから瞼は伏せたまま、ティエリアはきっぱりとアレルヤに言い返した。
「特にない。俺が望むのは、ソレスタルビーイングの計画の成就。それだけだ」
「ほ、他には?? ティエリア自身が欲しいものとかはないの?」
「ソレスタルビーイングのために欲しいものはある。自分自身で欲しいものは……これと言って無い」
「本当に? 何もないの?」
おずおずと、けれど引き際悪く問いを重ねられて、ティエリアは不機嫌そうにぱちりと目を開けた。
薄ぼんやりとしたルームライトの下、何だか困ったようなアレルヤの顔があった。
「……何だ、しつこいな。そう言う君は何か欲しいものでもあるのか?」
どうせ無いくせに。
人を無欲と言いながらも、アレルヤだって同じだろうに。
それを言い返せば、アレルヤは一気に黙り込んでしまった。
一層眉尻が下げられて、まるで叱られた犬のような表情になっていく。
そら見ろ。自分が答えられないことを人に問うな。
言葉が返らないのを良いことに、ティエリアは欠伸を噛み殺しながら、再び眠りにつく体勢に入る。意識せずにもぞもぞと動いて、隣にある体温により近く寄り添えば、仕方ないなという溜息と共に、そっと背中に腕を回された。
薄れ行く意識の中にその温もりを感じながら、眠りに落ちていく。
それで、その一連の会話は終わり。
それは単なるピロートークのうちの一つに過ぎないものであった。
――その、はずであったのだが。
「ティエリア、何か欲しいものある?」
「ない」
翌日。オペレーターの少女との出会い頭に、控えめに、けれど率直に投げかけられた問いに、辟易したようにティエリアは短く答えた。
「何も、ないの?」
「ああ」
「そう……」
きっぱり言い切ると、彼女は残念そうに肩を落としながらティエリアの隣を過ぎていった。そして廊下の角を曲がったところで、音量を抑えた、けれどよく響く声がきゃあきゃあ何か言っているのが聞こえてきたのをあえて無視して遠ざかり、ティエリアは自分の部屋に戻るルートを辿っていった。
(一体、何だと言うんだ……)
もう、今日何度目になるか分からない。同じ内容を、言い回しと問う主を変えて、何度も聞かされていた。
ロックオン・ストラトスやスメラギ・李・ノリエガにイアン・ヴァスティ、それにリヒテンダール・ツェーリやクリスティナ・シエラ、そして果てには今はフェルト・グレイス。
今朝から、何故か艦の皆がこぞって、昨夜のアレルヤと同じことを訊ねてくる。
それが全くの偶然であると思うほどティエリアは馬鹿ではない。
明らかにこれは、あの時のアレルヤの質問から始まったものだ――というか、ティエリアのいないところでアレルヤがクルーに相談でもしたのだろう。さっきもひそひそ話しの中にアレルヤの名前が出てきていたのを確認してある。皆が皆して手を変え品を変え、ティエリアの欲しいものを聞き出そうとしてくる。それは、アレルヤが知りたがっているかららしい。
しかし、無いものは無いとしか答えられまい。何を隠しているわけでもない。昨夜アレルヤに答えたことが全てなのだ。
自身が物にこだわるようなことはない。衣食住、全て組織で十分に揃えられているし、ヴェーダが存在すればそれ以上にティエリアが望むものは無い。あえて言えば、他のマイスターやクルーへの不満、改善希望はあるのだが、それは「欲しいもの」という問いかけの趣旨とはまた違うだろう。
そんなもの、無い。それがティエリアの答えなのに。そう、何度も答えていると言うのに、一体何でそんなにこだわるのだろうか――朝から重ねられてきたその変わらぬ問いかけに、ティエリアのイラつきも、いい加減ピークに達しようとしていた。
そこに。
「あ、ティエリア!」
廊下の反対側から歩いてきた彼が浮かべた笑顔を見て、いよいよティエリアの中で何かがぷちっと切れる音がした。
一気に間をつめると、その腕をしかと掴む。
その後ろにいたらしいロックオンが驚くのが見えたが、それはどうでもいい。
そのまま腕を引いてその場を離れれば、アレルヤは不思議そうにしながらも大人しくティエリアに従ってきた。
そして、自室に入るや否やティエリアは、
「アレルヤ。何でそんなに人の欲しいものを知りたがる」
引いていた腕を離して、代わりに腕組みをしながらアレルヤを見上げて彼に問いかけた。
突然のことにきょとん、としていたアレルヤは、ああ、と一人得心したように頷くと、照れ臭そうに笑みを浮かべた。
「皆に相談して協力してもらってるの、バレちゃった?」
「あれでバレない方がおかしいだろうが」
「そうだね、ごめんね」
控えめに首を傾げてみせる彼に、余計苛立ちが募る。壁際に追い詰めながらきりっと睨みつけると、肩を竦めて後ずさるアレルヤも真剣な表情になった。
「それで、何故だ」
「だって。誕生日に、何をあげたらいいんだろうって思って」
……その言葉を理解するのに、少しの間が空いた。
瞬きを一つ。その後目を瞠ったまま、ティエリアはもう一度問いかける。
「……何?」
「ティエリアの欲しいものを、プレゼントしたかったんだ」
「……ぷれぜんと?」
何を言っているんだこの男は?
理解できない言葉を聞いているかのように目を瞬かせるティエリアに、アレルヤは苦笑した。
「本当は、聞かないで自分で考えてプレゼントした方がいいんだろうけれど。でも、それで君に本当に喜んでもらえるか分からなくて」
「待て。そもそも何故誕生日などという言葉が出てくるんだ」
組織のメンバーはお互いのプロフィールも秘されているはず。そもそも特別な存在であるティエリアは尚更データが明らかにされていないもので。だから、アレルヤがティエリアの誕生日などを知っているはずがない。
「あ、ティエリアは教えてくれないと思ったけど、でも一年のうちのいつかは誕生日なはずだから。だからスメラギさんと相談して、ティエリアの誕生日を決めて祝おうってことになって」
「勝手に決めるな」
「じゃあ、教えてくれる?」
「黙秘する」
「だったら、仕方ないじゃないか」
君は僕の誕生日を知っているのに、僕は君の誕生日を知らないんだから。
ぬけぬけと言われたのには、君の誕生日は守秘義務を破って勝手に君が口に出したんだろうが!
鋭く言い返したが、いい加減数年の付き合いになるからこその慣れであろうか、アレルヤは大して堪えた様子がなかった。そのままの表情で、今度は少し違った問いかけをしてくる。
「それじゃ、ものじゃなくても、何かして欲しいこととかはない?」
「は?」
「欲しいものじゃなくて、僕にして欲しいこと。それだったら何かないかな?」
君を喜ばせたいんだ。そんな、ティエリアには理解できない願いを持って発せられた問いかけに、ティエリアの脳内にはいくつもの言葉が思い浮かんだ。
けれどそれは声には出さず、浮かんでは消えた。
色々とあるはずなんだ。アレルヤに求めることは。
けれど、そんな期待する目で、何か出来るのが嬉しいと言うような目で見られて――何も、言えなくなってしまった。
それでも、何も言わないのも癪で。
「アレルヤ、」
短く、呼びかける。するとそれだけで分かったかのように、背中に回される腕。
抱き寄せられてそっと上を向くと、当たり前のように重なった唇。
もう何度も重ねてきた行為。互いの目を見るだけ声を聞くだけで、欲していることが分かる位に。
そしてそっと離れていった彼の頬を両手で押さえつけながら、真正面からその目を見据える。
「……これで、いい」
「これで? でも、いつもしているじゃないか」
「君が、何かして欲しいことはないかと聞いたんだろう」
だから、これでいい。
そう、欲しいものは無い。
今、あるもので十分に。
ぽすっと、厚い胸板に顔を埋める。
好きだ。こうしていることが好きだ。この男が、――好き、だ。
だから。
こうしていられる今だけで、それで十分に満たされる。
欲しいこと、欲しいもの。
それはきっともう既に、この手の中にあるのかもしれないと、ぼんやりと考えながら、彼の鼓動を感じていた。
――それは彼がまだ、失うことを知る前の話。
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