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だらだら日記

基本的に結構カオスなつれづれ日記。同人耐性のない方はご遠慮ください。

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贈り物を君に~Returns~(00)

アレルヤ誕生日おめでとう!
ということで走り書きですがアレルヤハピバの想いを込めたアレティエ小話です!
一応ハピバな話です! 主成分はアレティエへの愛と勢い!

去年のティエリア誕生日祝いの話から繋がっているような話です。
時軸は二期の頃ですが、二期のいつ頃とかは特に決めずに書きました。

毎年のように誕生日祝いの話は書いているのですが、どうにも最近は切なめになる傾向にあったので、今回はあまり切なくない感じにしました。
年とともに自分のアレルヤ観も変わってきている気がするのですが……いつまで経っても愛しい二人でございます。

お読みになる方は続きへどうぞー。

   贈り物を君に~Returns~

「アレルヤ。君は、何か欲しいものはあるか?」
 
プトレマイオスの展望室でぼうっと外を眺めていたところに、突然後ろから聞こえてきたのは、いつもと変わらぬ調子でのティエリアからのそんな問いかけ。
 
「ティエリア。何、いきなり?」
「いいから答えろ。欲しいものはあるか?」
 
驚き振り返れば、ティエリアは思いのほか真剣な表情で、展望室に入ってくるところ。
彼のためにスペースを空けるよう身をずらしながら、アレルヤはその問いかけについて頭を巡らせ始めた。
 
「えっと……そうだねえ」
「ものでなくてもいい。何か望むことはないか?」
 
硬質な声でそう繰り返してくる彼の言葉に、ふと、既視感を覚えた。
これって、何だかあの時と同じみたいじゃない?
長い暗闇の記憶の向こうに、確かに忘れず覚えているあの時のことを思い出したアレルヤは、懐かしさのあまりつい、小さく声に出して笑ってしまった。
 
「……ふふっ」
「? 何だ?」
「……前にも、こんなやり取りしたことあったよね」
 
あの時は、僕がティエリアに訊く側だったけれど。言うと自分でも分かっていたのだろう、ティエリアはつまらなさそうに「覚えていたのか」と唇を尖らせた。その半分はきっと照れ隠しだろう。
そう、数年前、まだ彼と恋人になったばかりの頃。彼の誕生日に何を贈ろうか、考えて、決めあぐねて、それで直接訊いてしまえと、あの手この手を使って彼の答えを聞こうとしたことがあったっけ。
それになかなか答えようとしなかった――答えられなかったティエリアが、最後に出した答えは、思いのほか可愛らしくて、それでまた彼のことを愛しく思うようになったのだけれど。
そう、数年前のことを懐かしそうに目を細めて思いやれば、ティエリアは一気に照れ臭そうに顔を歪めた。彼自身もあの時のことを思い出しているのか、それとも、今自分がしていることに恥じらいを覚えているのか。
――ああ、そうか。ここ何年も連邦軍に捕まっていてそれどころじゃなかったし、実際今だっていつ戦いが始まるか分からないから、そんなこと気にすらしていなかった。
けれど、そうだ。今日は、自分の誕生日だった、そのはずだ。
 
「誕生日プレゼント、僕の欲しいものをくれるの?」
「……僕は、何か望むものがあるか訊いているだけだ」
「うん、そう、だねえ……」
 
くすり、笑んでから再び外へ目を遣ると、アレルヤはその問いかけの答えを自分の中に探し始めた。
しかし、改めて考えてみると、何とも言えない。物質的にはこれ以上何が欲しいとも今は思わない。それは、数年前のあの時もそうだったけれど、今はそれ以上に物に対するこだわりはなくなっていた。
けれど。
自分が、望むもの。望む、こと。
それは、全くないわけでも、ない。
 
「――この世界が、平和になりますように」
「…………」
 
その言葉に、ティエリアは黙ったまま目を細めるだけだった。アレルヤもそんな陳腐な言葉だけで終わりのつもりはない。
 
「それで、マリーが普通の女の子として、幸せになれますように」
 
マリー。大切な少女。自分の記憶の最初にいる儚げな姿。記憶のなかった自分に、名前をくれたひと。
自分と同じ超兵だとしても、彼女だけには幸せになってほしい。戦いに関わらないで、ただ幸せに、と。それは、ずっと変わらぬ願い。
そっと、今はここにいないその姿を瞼の裏に思い浮かべるように目を瞑ると、アレルヤは心の底から願うことの一つを、舌にのせて告げた。
 
「それが、君の望みなのか? ……どうにも僕の手には余るな」
「あ、やっぱり。誕生日プレゼ」
「それで。……もっと何か、言いかけただろう」
「うん。それで、ね」
 
先を促されたアレルヤは、顔を傾けて、ティエリアの紅い瞳に目を合わせると、ふわり、笑んだ。柔らかな微笑み、けれどその瞳は、とても真剣なもの。
 
「ティエリアのことも、幸せにしたい」
「……な、」
 
それに意表をつかれたようにティエリアは言葉を詰まらせた。思いもしなかった攻撃を受けたみたいに慌てて、何か言おうとするけれどそれよりもアレルヤが次の言葉を続ける方が先だった。
 
「これは、僕だけじゃ出来ない。君じゃないと出来ないことだよ、ティエリア」
「そんな、そんなこと……っ」
「君は望んでいないよね。自分の幸せなんて。ただ、ソレスタルビーイングの使命を果たすこと。それが、君がここにいる意味だからって」
 
アレルヤの少し悲しげな言葉に、ティエリアはその真意をはかるように戸惑いながらも頷いた。自分の言葉が導いたその仕種に、少しだけ悲しさを増しながら、アレルヤは彼の両肩を掴み、そして自分の方へと引き寄せた。
驚き、反射的に強張る身体を、けれど強い力で繋ぎとめながら。
 
「――でも、だから。だから、僕が君の幸せを願う。幸せになってほしい、幸せにしたいって思う。――そのことを、受け入れてくれると嬉しい、な」
 
その、言葉を。
ティエリアはきょとんと目を見開いて、意味が分からない、そんな表情で聞いていて。目の前にあるその表情が、アレルヤにはよく見えた。
ただ真っ直ぐに使命のために戦うティエリア。けれどその姿は数年前と同じではない。
仲間と共に笑い、仲間を思い涙する。そんなこと、あの頃にはなかったこと。
それでも、そうやって周りを受け入れて『人間らしく』なった彼だけれども、組織の使命が至上目的であることには変わりなく、その頭の中には『自分の幸せ』なんてもの、ひとかけらもないことはよく分かっている。
けれど。
彼を愛おしく思えば思うほど、その思いは強くなってきて。それは、戦場に立つ自分達が、銃を手に取る自分達が、望むべくもないことなのかもしれないけれど。
それでも――大切な人の幸せを、願うことは罪にはならないはずだから。
 
「駄目、かな?」
「……そんなの。僕からの贈り物にならないじゃないか」
「そう? それじゃ……ティエリアが一緒にいてくれることが、僕にとって一番の贈り物だよ」
 
ね?
そう、囁きかけると、彼の頬がほんのり朱に染まった。困ったように眉間に皺を寄せて、何やら考えるようである。
けれど突如、手袋をつけたその手はアレルヤの首元に伸ばされた。
かと思うと、ぐいっと、引き寄せて。
ぶつけるように迫ってきたかと思えば、そのまま力強く重ねられた唇に、驚きながらも避けることなくアレルヤは受け止めて。
そして、呼吸が苦しくなる一歩手前、ティエリアは近づいてきた時と同じようにがばっと離れていくと、
 
「……こ、これが。誕生日祝いだ!」
「キスだけ?」
 
物足りない、と言いたげにそう呟くと、ティエリアは顔をかあっと真っ赤に染めて。
 
「……これをっ、……証とする」
「…………ありがとう」
 
最高のプレゼントだよ。
言うと、ちゅ、と軽いリップ音を立ててその唇に唇を重ねた。
ささやか過ぎるそれが、けれど今は無性に恥ずかしくてならないようで、ティエリアはどうしようもないように顔を顰めていて。
けれど、アレルヤが浮かべる、心の底から嬉しそうな笑顔に、満足したように微笑むのだった。
 
ああ、その顔が何よりの、僕にとっての贈り物。

(何やかんやでアレルヤ誕生日おめでとうー!)
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42話 HOME 幻水紡時クリアしました!

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