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だらだら日記

基本的に結構カオスなつれづれ日記。同人耐性のない方はご遠慮ください。

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のど飴ひとつくださいな。(ティアクラ)

幻水ティアクラ、主リウです。
出てるのはいつものシトロ四人組。

ティアクラで初めての戦闘での話です。たのしかった。

   のど飴ひとつくださいな。

それは、とある戦闘中のこと。

「よっしゃ、行っくぞー!!」
「了解っ!」

目の前に現れた四体のモンスターを相手取り、タイガとジェイルが前に出、弓を構えたマリカの隣では杖を手にしたリウが星の力の詠唱を開始する。
四人にとってはもはや慣れた陣形だ。
四体の敵を、マリカが弓で牽制し、前列二人がひきつける間に、リウは詠唱を完成させる――けれどそれは必ずしも絶対の成功を保証されたものではなくて。
四体の内三体は、それまでのこちらの攻撃によって、あと少し倒せる状態。けれど後列に位置した残りの一体は無傷なままで。
連携が完成するよりも前に、その、敵の内でも飛びぬけて大きな一体が攻撃の動作に動いた。

「来るぞ!」

それに気付いたジェイルが、警告を口にした。咄嗟に全員が身構える。
そうするや否や、こちら側へ向けて突如吹き荒れた砂嵐に、四人は目と口を閉じて耐えた。身に当たる砂礫はじわじわ体力を削っていくけれど、けれど耐え切れないほどではなかった。
そして、敵の攻撃が終わり、そろそろと目を開く。砂嵐を仕掛けてきたモンスターは攻撃直後の隙が出来ており、追撃は、ない。
タイガは何か言おうと口を動かし、けれど言葉は音にならずにきょとん、首を傾げた。
そんな、戦闘中なのにどこか呑気な仕種にリウも口を開き――けれどその声もまた、口から流れ出ることはなかった。

「二人ともどうした……??」

ジェイルが訝しげに問いつつ、タイガに襲いかかるモンスターを一撃で地に伏せる。
タイガはすまなそうに顔の前に手を上げ、自分の武器を握り直し、もう一体を打ち伏せた。
敵の数が減って、けれど困ったような表情で何も言わないリウを見て、マリカはぴん、と来た。

「え……これって『沈黙』状態じゃない!?」

話に聞いたことはある。実際にリウが使う星の力の中にも敵を沈黙させるものがある。
けれど、タイガ達がその状態に陥ったのは、これが初めてのことだった。

「マリカ! 回復アイテムを頼む! リウは防御していろ!」
「分かった!」

いつもは戦闘中の指示を出すのはタイガだ。けれど今は声を出せないタイガの代わりに指示を出しながら、ジェイルは前列の残り一体をタイガと共に相手取った。
了解したマリカは、すかさず道具袋に手を伸ばした。ごそごそ、中を探ってみる。

「えっと、こういう時は確かのど飴……って、ああっ!?」

迂闊だった。今まで相手にしてきたモンスターの中に沈黙効果を持つ攻撃を仕掛けてくるものはいなかったので準備を怠っていた。
道具袋の中、のど飴は、ひとつ。
沈黙状態なのは、二人。
けれど迷うことなくマリカは隣にいたリウにそれを渡した。
理由は近くにいたってことだけじゃない。自明の事実に基づいた判断であった。
星の力なしのリウは、ぶっちゃけ戦闘では大した役に立たない。逆にタイガは、物理攻撃だけでも頼りになる。今だって、ジェイルと一緒に一体、モンスターを倒している。
そしてリウは受け渡された飴玉をすぐに口に含み、舌で転がす。すると、喉に絡み付いていたものがすうっと溶け消えるのを感じた。

「さんきゅー、マリカ!」

その言葉も明瞭に口にできたリウは続いて呪文を唱え。
巻き起こったのは、先程の敵の攻撃よりもさらに巨大な砂嵐。
それは敵モンスターの身体を包み込み、そのひるんだ隙をついたタイガとジェイルの同時攻撃が叩き込まれるのだった。



「こんなとこか」

ジェイルの呟きは、戦闘の終了を示していた。ほっとしたマリカとリウは肩から力を抜いて武器の構えを解く。
けれどタイガは難しい顔のままだった。沈黙状態続行中。
それに、マリカは微妙な顔をする。

「……タイガが静かって、何か変な感じよね……」

自分でもそう思っているのだろう、タイガはむう、と顔をしかめた。何か言いかけて、けれどはっと口を閉じる。
それを見てリウはすまなそうな顔をした。舌の上に飴玉を転がしながら、頬を掻く。

「悪い、のど飴これしかなかったんだよな。こーいう時もあるんだって、ちゃんと準備しとけばよかった」
「リウ、お前だけのせいじゃない」
「そーよ。あたしたちだって気付かなかったんだし。ま、次の村までの辛抱でしょ。このままでも戦闘にはあんまり影響なさそうだし」
「タイガが静かだとオレ達の調子が狂うってだけだからな」
「…………」

そのやり取りを聞いて不服そうだったタイガの瞳が、けれど悪戯に輝いたのに気付いた者は、いなかった。
さあ先に進もうか、と荷物を拾いなおしていたところに、とんとん、と肩を叩かれてリウはタイガを振り返る。

「? どしたのタイガ……っ!!?」

ぐい、と腕を引かれて、驚く間に唇を塞がれる。見開いた目に映るのは、タイガのドアップ。
キス、されてる。呆け、それから気付く間に、口中に柔らかいものが侵入してきて、そこに残る小さくなった飴玉を転がされた。
顎裏を徒に触れられて、身体から力が抜けかけて。
そうして悪戯な口づけは、リウから飴玉を奪い去って行った。

「な、な……っ???」

解放されて、けれど口をぱくぱく動かすことしかできない。沈黙状態に逆戻りしたかというように。
マリカとジェイルがわざとらしく向こうの方を向いて「あ、あの鳥珍しいわねー」「そうだな」とか言っているのが救いと言うかむしろ恥ずかしいというか。

「何すんだよタイガぁーっ!!」
「だって、喋れねーのってヤだし……お、治ってる!」
「だからって、だからってねえええええ??」
「あれって、半分こでも効果あるのな!」
「何その良いこと知ったって顔っ! 言っとくけど普通はあんな使い方しませんですよっ??」
「アイテム節約になっていいんじゃね?」

ま、オレとリウ限定だけど。

さらっと言われたその一言に、「タイガのバカああああっ!!!」真っ赤になったリウの叫びが、その場に響き渡った。
ああもうこいつ、ずっと沈黙状態でも良かったかも。
そんな後悔は、まあ、先には立たないものであるのだった。



ちなみに。
この後、沈黙状態はアイテムを使わずとも、ちょっと時間が経つと自然回復するということを知ったリウが、怒って(または恥ずかしさのあまりに)タイガを追いかけ回したとかいう話でもある。



(多分、ゲーム序盤の話。マリカが快気の光明を使えないくらい)(ただし、場所とか敵モンスターの正体とかは考えないで書いてるのでまあ、結構いい加減です)
(二人でひとつを半分こ、ってのは「3」のバディシステムっぽいですねー。と、書いてみて思った)
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