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だらだら日記

基本的に結構カオスなつれづれ日記。同人耐性のない方はご遠慮ください。

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キスの種類 3

改めて7話後小話第三話。8話時軸に突入です。
ミレイナ問題発言シーンから。
アレルヤとマリー。客観視点。
結局超兵は天然、という話。

色々な所で書かれている感じの話になっていると思いますが、自分でも書いてみました。

アレマリが何かいちゃこらしているようにも見えますが、このシリーズはアレティエ恋人プッシュです。

それでは、心の広い方は、どうぞ。

   キスの種類 3

「マリー、疲れてないかい?」
「大丈夫よ、アレルヤ」

各種チェックを受け終えた後、アレルヤはマリーとブレイクルームにやってきた。
自室は狭いし、彼女を招けるような所ではない。いくらマリーとはいえ、女性を気軽に自室に招き入れるのは気が咎められた。
他のクルーは皆自分の持ち場に戻っている。ブレイクルームにも他に人はいない。
ようやく、二人で一息つくことが出来る。コーヒーを入れたカップをテーブルに置き、椅子に腰掛けながらアレルヤは肩から力を抜いた。
そんな様子に、マリーが心配そうな顔をする。

「アレルヤこそ、疲れていない?」
「え……大丈夫だよ」
「そう?」
「うん。……マリーがここにいられることになって、ほっとしただけ」
「それは……ありがとう、アレルヤ。あなたのおかげだわ」
「ううん、そんなことないよ! スメラギさんが認めてくれたから……」

そんなことを言い合って、二人でふわりと笑い合う。何だかくすぐったい気分で。
出会い、別れ、そんなものを思い出しながら、けれどこうして再び会えたことを、ああ、幸せだなあ、そんな風に思う。

「何だか夢みたいだね。本当に君と、こうしていられるなんて、思ってなかったから。怖いくらいだよ」
「私もよ。……本当は私は、幸せなんて望んじゃいけないんでしょうけれど」
「マリー……」
「それでも。今だけは。こうしてあなたと一緒にいられて幸せ。それで十分だわ」

パイロットスーツを脱ぎ捨て辛子色のシャツを着た彼女は、戦いとは縁のない普通の女性に見える。
それでも、彼女が超兵として戦場に身を置いていたのは、間違いない事実。その罪を背負っていることも。
――それでも。

「君の咎は、僕も一緒に背負うよ。だから、僕に君を守らせて欲しい」
「アレルヤ……」
「もう、君は戦う必要はないから。僕が、戦うから……」

アレルヤの真剣な眼差しにマリーは困ったように眉尻を下げた。
そして、何か言おうと口を開きかけた、その時。
そこに、突然、闖入者が現れた。

「つかぬことを聞くです!」

ブレイクルームのドアが開く、と同時に顔を覗かせたミレイナが、単刀直入に、またやらかした。
彼女は部屋の中の二人を見ると、

「二人は恋人なのですか!?」
「「なっ」」
「おー! 乙女の勘が当たったですぅ!」

ぱしゅっ。
……揃って頬を紅くした二人が何も答えないうちに、一人合点したミレイナは現れたときと同じくあっという間にそこから消えた。
部屋の中には、頬を紅くした二人。呆けたような顔のままで、自信のない声を出した。

「マリー……僕達って、恋人、なのかな?」
「ええと……そうなの、かしら? 私、あなたのことをそんな風に考えたことはなかったわ」
「うん、僕も。でも、そんな風に見えるのかな……?」
「というかアレルヤ、あなた、恋人がいるんじゃないの!?」
「え…………」

『ねえアレルヤ、あの、怖い顔をした綺麗な人は?』
『ああ、ティエリアだよ。怖い顔をしても綺麗でしょう。きっと僕がアリオスを壊してしまったことを怒っているんだよ』
『ティエリア。綺麗な名前ね』
『うん。綺麗。あのね、彼は、僕の、大切な、その……恋人、なんだ』
『まあ……』

あの時、ブリーフィングルームに彼が現れたとき、アレルヤの鼓動が大きく弾んだのを感じて、問いかけ、教えられたことを、マリーは思い返した。
アレルヤに自分以外の大切な人がいることは少し寂しかったけれども、それでも彼が自分だけにとらわれていたのではなくて、他に心許せる相手がいたことが嬉しかった。それはアレルヤにはハレルヤがいたけれど、その他に大切な相手を見つけることが出来たことは、彼にとってきっと幸運だったのだろう。
それに、ソーマ・ピーリスであったマリーにも、父と慕う人がいた。彼の存在は、ソーマの支えとなっていた。
人は、一人では生きられない。それは超兵とて同じこと。
今のマリーも、アレルヤに依っている。けれどそれでは駄目だと分かっている。この艦に受け入れられるのならば、他の人とも――そう、アレルヤの恋人であるあの綺麗な人、ティエリアとも、良い関係を築きたかった。アレルヤにとって大切な人ならば、マリーにとっても感謝すべき存在なのだから。
けれど彼はマリーが声をかける前にあの部屋から出て行ってしまった。何だか怒った顔をして。
それに、あ、とマリーは気付いた。

「アレルヤ。もしかして、ティエリアさんも勘違いしていたら」
「あ…………」
「機体を壊したことを怒っていたんじゃなくて、あなたと私が恋人だと勘違いして怒っていたのだとしたら」
「!!」

その時、アレルヤの顔から血の気が引けた。
慌てて立ったアレルヤは、テーブルの上のコーヒーを零してしまった、けれどそんなこと気にかけないで急いで部屋の外に出る。アレルヤが零したコーヒーをささっと布巾で拭いたマリーもすぐにその後に続いた。

「アレルヤ、もう少し落ち着いた方がいいわ。それに、どこに向かっているの?」
「展望室! ティエリアはよくあそこにいるから!」
「分かっているなら、余計落ち着いて。戦場では焦りは禁物よ」
「マリー」
「ね、深呼吸して、肩から力を抜いて。ほら、そんな情けない顔じゃ彼にも嫌われてしまうかもしれないわ」
「う、うん」
「……うん。大丈夫みたいね」
「ティエリアーっ!」
「……やっぱり、駄目かも」

(つづく)
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