だらだら日記
基本的に結構カオスなつれづれ日記。同人耐性のない方はご遠慮ください。
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君の手のひら
フライングで、アレルヤ救出後小話。
アレティエ前提、アレ←ティエシーン。
一週間は早いあとで泣きを見るぜと思いながらも思いついたからには今の内に書いちゃえってことで書いちゃいました!
前に書いた救出小話とは別の話っぽいです。
アレティエ前提、アレ←ティエシーン。
一週間は早いあとで泣きを見るぜと思いながらも思いついたからには今の内に書いちゃえってことで書いちゃいました!
前に書いた救出小話とは別の話っぽいです。
君の手のひら
医療機器の静かで精密な稼動音に包まれて、ティエリアは目の前の男を見ていた。
彼は、ベッドの上で両目を閉じて、今は静かな寝息を立てている。
その下に宿る灰色と金色をティエリアはまだ自分の目では見ていない。
刹那に救出されたアレルヤは、意識を失ったままここに運び込まれた。
あれからまだ一日経たない。アレルヤはずっと、眠ったまま。
けれどそれが穏やかな眠りであるのならば、その両目が開くのを心待ちにするだけでいられたのに。
それが時折崩されるのは、身を苛む痛みのためか――心を苛む悪夢のためか。
四年前より少し衰えた、けれど逞しさを残したままの身体には、無数の傷跡があった。
そのほとんどは既に治っている。ひどい外傷ばかりが目立つが、それはもう見た目だけだとドクターが告げていた。
ならば。
時折苦しそうに眉根を寄せるのも。
唇から、哀しげに、誰かに呼びかけるのも。
己には知ることのできない、何かによってのことか。
彼の心に潜り込んで、彼を苦しめるその何かを知りたかった。
知ったからと、自分には何も出来なかろうが、それでも、知りたかった。
この四年間の空白を。
全て伝えて、全て知りたかった。
けれど、彼はまだ目覚めないから、待つことしか出来ない。焦れたまま。
ベッド際、掛け布からはみ出していた手が目に付いて、己の手に取る。
長く、ごつごつした、男の手。小さな傷が散っている。
そこに爪を剥がれた跡を見つけ、ティエリアはそっとその指先を、傷跡をなぞった。
その痛みを思い、顔をしかめ、指先へと唇を寄せる。
あのころ、彼がよく、自分にしてきたのと同じ様に。
この大きな手のひらは、自分に熱を与えてくれたもの。
手に、頭に、身体中に、心までに。
けれど今は、目を閉じたままの彼の手が自分に触れるわけもなく。
ぎゅっと、手を握りこんでも、起きる気配はまだ、ない。
だから、今は。
「……早く目覚めろ。君の機体はもう準備してあるのだからな」
身を起こして、目覚めぬ頬を手のひらで触れた。
彼がよくそうしたように。今は、自分の方から。
全てを、包み込むように。
少し冷えた頬に、熱を分け与えるように。
「早く、僕に触れてみせろ」
アレルヤ。
身を屈めて、唇に宿る熱と共に呟いた。
医療機器の静かで精密な稼動音に包まれて、ティエリアは目の前の男を見ていた。
彼は、ベッドの上で両目を閉じて、今は静かな寝息を立てている。
その下に宿る灰色と金色をティエリアはまだ自分の目では見ていない。
刹那に救出されたアレルヤは、意識を失ったままここに運び込まれた。
あれからまだ一日経たない。アレルヤはずっと、眠ったまま。
けれどそれが穏やかな眠りであるのならば、その両目が開くのを心待ちにするだけでいられたのに。
それが時折崩されるのは、身を苛む痛みのためか――心を苛む悪夢のためか。
四年前より少し衰えた、けれど逞しさを残したままの身体には、無数の傷跡があった。
そのほとんどは既に治っている。ひどい外傷ばかりが目立つが、それはもう見た目だけだとドクターが告げていた。
ならば。
時折苦しそうに眉根を寄せるのも。
唇から、哀しげに、誰かに呼びかけるのも。
己には知ることのできない、何かによってのことか。
彼の心に潜り込んで、彼を苦しめるその何かを知りたかった。
知ったからと、自分には何も出来なかろうが、それでも、知りたかった。
この四年間の空白を。
全て伝えて、全て知りたかった。
けれど、彼はまだ目覚めないから、待つことしか出来ない。焦れたまま。
ベッド際、掛け布からはみ出していた手が目に付いて、己の手に取る。
長く、ごつごつした、男の手。小さな傷が散っている。
そこに爪を剥がれた跡を見つけ、ティエリアはそっとその指先を、傷跡をなぞった。
その痛みを思い、顔をしかめ、指先へと唇を寄せる。
あのころ、彼がよく、自分にしてきたのと同じ様に。
この大きな手のひらは、自分に熱を与えてくれたもの。
手に、頭に、身体中に、心までに。
けれど今は、目を閉じたままの彼の手が自分に触れるわけもなく。
ぎゅっと、手を握りこんでも、起きる気配はまだ、ない。
だから、今は。
「……早く目覚めろ。君の機体はもう準備してあるのだからな」
身を起こして、目覚めぬ頬を手のひらで触れた。
彼がよくそうしたように。今は、自分の方から。
全てを、包み込むように。
少し冷えた頬に、熱を分け与えるように。
「早く、僕に触れてみせろ」
アレルヤ。
身を屈めて、唇に宿る熱と共に呟いた。
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