だらだら日記
基本的に結構カオスなつれづれ日記。同人耐性のない方はご遠慮ください。
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空は、青かった(稲妻)
イナイレSS、今日は鬼道さんのターン!
と思ったら不動さんのターンになりました。あれ?
ゲーム3ED後、不動と鬼道の話です。
気付いたら不動→鬼道っぽくなっていました。
感傷的な感じの話です。
イナイレ3のゲームのネタバレ(第八章関連)をほのかに、しかし全体的に含みます。
そしてネタバレ、というか、3の真EDの某シーンから思いついた話でもあります。
ゲーム未プレイ・未クリアの方が読まれる際には、ご注意ください。
まだ、3の解釈は不十分なので、ちょっと説明不十分で分かりづらい所もあるかもしれません。後々情報が出たら加筆したいかもです。
また、やっぱりまだまだ口調とか不安な部分があります。ごめんなさい。
空は、青かった
「あの人は、報いを受けたのかもしれないな」
ぽつり、鬼道がこぼした言葉を、聞いていたのは不動だけだった。
その感傷的な言葉に、不動は不快そうに眉を顰める。
「あぁ? 何言ってんだよ」
「いや……ふと、そう思ったんだ」
「……へっ、そうかい」
それを、否定するつもりはない。けれど同意するのも癪だった。自分と鬼道では、あの男へ向ける思いはまるで違うのだから。
不動にとってあの男のことはあえて思い出したくない過去だった。そんな男について語りたいわけがない。
けれど、鬼道にとっては、違う。
肩越しに見える口元には、あの男のことを想うその顔には、今も寂しそうな笑みを浮かんでいる。
それが、余計に、面白くなかった。
佐久間たちは何やら話をしていて、まだ気付いていないのだろう。
彼らの会話に参加せず片隅にいた不動だけが、その場に鬼道の姿がないのに気付いていた。
そして、何となしに来てみれば、やはりここだった。
黒いスーツに身を包み墓標の前に立つ鬼道は、トレードマークであるゴーグルを外している。
けれどその素顔は見えない。見たいとも、思っちゃいない。
彼が素顔を向けている相手は、そこに眠る男なのだから。
「とっとと戻らねえと佐久間たちが騒ぎ出すんじゃねえのか」
「……ああ、そうだな」
そう言いながらも動く気配はない。
そんな目の前の背中は、今はやけに小さく見えた。
鬼道は元より大柄ではない。しかしいつもは決して頼りないなどと人に思わせることのない威厳を纏っている。天才ゲームメーカー、そして鬼道財閥の御曹司たるに相応しい威厳を。
それでも常の威厳を失った今、そこにいるのはただの幼い一人の中学生だ。
見ていて、面白くない。彼を単なる感傷的な少年たらしめているのは自分ではなく――あの、不動にとっては気に食わないとしか言えなかった男なのだ。
ちっ、と舌打ちと共に歩み寄る。そして右腕に抱えていた物を無造作に広げ、鬼道の頭から被せかけた
「!?」
予測外の不動の行動に、鬼道は目を見開いた。
その視界を、ばさあっ、と、赤が覆いつくし、触れた布地、それが自分のマントなのだと気付いた鬼道は、怪訝そうに背後に訊ねかける。
「不動……?」
「……雨、降ってきたからよ。お坊ちゃまが風邪でもひいたら一大事だと思いましてねぇ、雨避け、持ってきてやったんだよ」
「……そうか」
「戻りたくなけりゃ、ここでそれ、好きなだけ濡らしてりゃいいだろ」
「……不動」
皮肉を言っても何の反応も返ってこない。憤りも、反発も、苦笑すらも。
ただ、頭から覆い被さるマントをどけることなく、逆にぎゅっと胸の前でかきあわせたその手が、小さく震えているのが、見えた。
その小さな震えがやがて肩に伝わっていくのが、分かる。
不動は口を大きくへの字に歪めると前髪をかきやった。
調子が狂う。
ああ、全く見ていられねえ。
それでも、震える肩を抱き締めようなんて、思うわけがない。この自分がそんなこと、鬼道に対して思うわけがないのだ。
ただ、何故か立ち去ることは考えられず、上を向いた。
(泣きたけりゃ泣けばいいなんて。
オレが言うようなことじゃねえはずだし。
泣き顔を見たいなんて思ってもいねえんだよ)
空は、青かった。
眩しいくらいに、晴れ渡っていた。
(感傷的な、雰囲気だけの話)
(ふと思いついた話を書いた感じでした)