だらだら日記
基本的に結構カオスなつれづれ日記。同人耐性のない方はご遠慮ください。
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整備の話。
00二期SS。
沙慈とアレルヤの話(+ちょっとだけアレティエ)。
4話の一場面から膨らんだような話。
実は沙慈は初書きだった……。
沙慈とアレルヤの話(+ちょっとだけアレティエ)。
4話の一場面から膨らんだような話。
実は沙慈は初書きだった……。
Mechanic's Problem
反政府組織への内通者として疑いをかけられ拘束された沙慈が、どさくさ紛れに刹那に助けられ、ソレスタルビーイングの母艦に乗せられてから数週間が経つ。
しばらくは艦内の一室に閉じ込められていた沙慈であったが、数日前から『働かざる者食うべからず』の文句の下に、チーフメカニック、イアン・ヴァスティに下働きとして使われていた。この艦は少数精鋭、と聞こえは良いが、どうやら、人手不足であるらしい。
しかし、だからと言って秘密組織の中心部であるガンダムの作りを部外者である沙慈に見せてしまうなんて、一体どういう危機管理意識なんだろう。心配、というか、不安になった。
……もしかしたらこのまま組織に引きずり込むつもりか、と最初身構えたものの、イアンは気のいい笑顔でそんな不安を否定した。
実際、沙慈が見ているレベルのデータは、連邦軍の所持しているジンクスシリーズのそれとほとんど変わりはない。しかし、このガンダムという機体は本来ならば今の時代を何歩も先を行く理論に基づいて作られていた。技術屋として、興味を惹かれないわけはなかった。
ソレスタルビーイングに手を貸すつもりはない、けれど一方的に助けられただけだなんて、それこそ面白くない。
そう考えて、沙慈はメカニックの卵、のような仕事をするようになっていた。
それは、ガンダムマイスター最後の一人を救出するための大掛かりな戦闘から三日ばかり後のことだった。
初めて実戦で使われた白とオレンジのガンダムの現在の状態を見て来いと何とも大雑把な指示を受け、沙慈はコンテナへと向かった。
アリオスの名を持つ彼のガンダムは、ガンダムで唯一変形機構を持っている。沙慈は人型の状態しか知らないが、それでも『変形』というキーワードに沙慈の少年心はくすぐられていた。
現在の機構から変形するならば……勝手に頭の中でいくつもの公式を組み合わせ想像しては、(違う、僕は今の状態を楽しんでなんかいないんだ!)と何度も頭を振っていた。
今日もそんなことをしながら、目的の機体へと向かっていく。
けれど今日はそこへたどり着く前に、沙慈は一旦足を止めた。
「そこで何をしているんですか?」
アリオスガンダムの前には、見慣れない人影があった。
背の高い男性の後ろ姿。オレンジ色の制服を身にまとい、ハロの一つと繋いだ端末をチェックしている。
目立つオレンジ色――基本的にソレスタルビーイングの制服は女性は自分の好きな色、男性はシンプルな灰色、ただしガンダムマイスターだけは自分のパーソナルカラーを身にまとう。
ということは、この人は、ガンダムマイスター。
そう思うと同時に沙慈の声は険を含んだ。生粋の技術屋であるイアンなんかはまだしも、マイスターは直接戦いを行う、沙慈にとって憎むべき存在だった。戦うことしかできないと言った刹那も、顔を合わせるたびに綺麗な顔から厳しい言葉しか吐かない紫色のマイスターも。
だから、初めて見るマイスターにも、その嫌悪を露にしてしまっていた。
けれどそんなことは知らないその人は、沙慈の声に応えるように、自然にこちらを振り向いた。
(うわあ……)
途端、沙慈は及び腰になった。
振り向いた男性は背が高く、がっしりとした身体つき。しかも冷たそうな顔立ちに、細く鋭い目を持っていた。
はっきり言って、怖い。刹那よりも数段強そうな雰囲気だ。
けれどそう思ったのも束の間、その男性はふっと表情を和らげて沙慈に笑みかけた。
「君は、新しいメカニック?」
それは、外見から思うよりも高く柔らかい声だった。意外に思いながらも沙慈は反射的に答えていた。
「違います!」
「そうなの?」
「僕は……ただ、手伝ってるだけで……」
それも嫌々、とぼそぼそ付け加えると彼は不思議そうな顔で沙慈を見てきた。
そして何かを思い出したように頷いて、
「あ、そっか……ティエリアが言っていた、刹那が最初に連れてきた『拾い物』って、君のこと?」
「……物、じゃないです」
「あ、ごめんね」
「……いえ……」
…………何だ、この人。
第一印象『怖い』だった人なのに、あっさり謝られた。
しかもふにゃりと笑われては、何だかおかしなことに場にほのぼのした空気まで流れ始めてしまったではないか。
いや違う、相手はガンダムマイスターなんだ。
思わず気が抜けそうになった沙慈は、慌てて気を引き締め直して、アリオスへと歩み寄った。
オレンジ色の制服の彼が持つ端末には、整備を介してハロの収集した機体データが流れていた。
「……あなたも、ガンダムに乗るんですか」
つい聞いてしまったのは、相手が思ったより怖くなさそうだったから。顔に似合わず、話しかけやすい空気を持っていたから。
「うん」
「戦うんですか」
「うん」
「……僕は、戦いは嫌いです」
「……うん」
僕も。さりげなく目を伏せた彼は、小さく呟いた。
「だったら! 何で戦うんですか」
「……守りたいもの、取り戻したいものがあるから、かな」
「それは、戦わないといけないものなんですか!?」
「もしかしたら他の方法もあるかもしれないけれど。でも、僕には戦う以外はないんだよ」
「それは……おかしいです」
「……君は、出身は?」
「日本です」
「そっか。平和な国だね」
「けれど、僕の平和は、僕の大切な人たちは、ガンダムのせいで奪われたんだ!」
その言葉に彼は顔を上げた。少し目を見開いて、次いで、哀しげな顔になった。
何で。それ位分かって、だからガンダムに乗っているはずなのに。
その顔つきに沙慈の憤りが、揺らいだ。
「……そう」
彼はそれだけをやっとのように吐き出して、端末に目を戻した。そんな彼に、沙慈はぽつりと呟いた。
「……あなたも、刹那と一緒なんですね」
戦う以外自分にはないと言った彼と同じ。
そう言い捨てて沙慈はアリオスの機体に触れた。
戦うためのガンダム。改めてその存在への複雑な感情が滲み出てくる。
けれどその背中に、気弱そうな、けれど芯の通った声がかけられた。
「君は、平和な世界で育って戦いの世界を知ったんだね」
「え」
「けれど刹那や僕はその逆に、戦うことしか知らないで育ってから平和な世界に触れた。けれどその平和は、いつ戦いに陥るか分からないものだった。だから戦争をなくすため、僕らは戦うんだ」
「……でも、戦えばそれだけ平和が消えていきます」
「……そうだね」
これ以上は水掛け論にしかならないね、彼は寂しげに目を伏せて、沙慈から目を逸らした。
その目は、左右で色違いだった。
綺麗な色だった。
見惚れそうになった沙慈は目を逸らして、機体状況の確認に集中することにした。
けれど、すぐに彼から問いかけが投げかけられた。
「……ねえ、ちょっといいかい?」
「……何ですか」
さっきの話の続きか、身構えて沙慈が硬い声で返せば、
「ここの、E回路からG回路に繋がる部分なんだけど」
「……は?」
「パーツとパーツのバランスが最良じゃない。どういう意味があるか、分かるかい?」
「…………ええと」
機体状況についての純粋な問いかけだった。さっきまでのやりとりの名残なく、真剣に問われて沙慈は戸惑った。
端末で指し示された部分は沙慈も見たことのあるデータだったけれど、それでもそんな細かい部分まで気にしていなかった。答えなんてイアンに聞かない限り分からない。
困って固まっていると、後ろから第三者の声がした。
「問題ない。飛行形態への移行を考えれば、その方が機体への負荷が少ない。タイムロスもな。いわゆる『あそび』の部分だ」
「ティエリア!」
その瞬間、目の前の彼の顔がこれまでの中で一番の笑顔に変わった。あまりの変わりように沙慈は唖然とした。その横を紫色のマイスター――ティエリアが呆れた顔で通過していく。そして彼はオレンジ色のマイスターの横に立つと端末を何度か操作してみせた。
「ああ……成る程。そういうことか」
「もっと自分の頭を働かせろ。君ならば少し考えれば答えにたどり着くはずだ」
「まだ、ぼけてるみたいなんだ」
「だったら、早く勘を取り戻せ」
「ティエリアはアリオスについても詳しいんだね」
「当然だ」
マイスターが揃わぬ内、各機のテストパイロットは全てティエリアがこなしていた。
アリオスについてはキュリオスのデータを元に、アレルヤの癖に合わせた調整を密かに加えていたりもしていた。そのため、アリオスに乗ってすぐにアレルヤは以前と遜色ない操縦を行うことができたのだった。
「それにしても、君にはまだ休んでいるように伝えてあったはずだが?」
「けれど、これからいつ何があるか分からないから。自分の機体は把握しておかないと」
「それはそうだ、が、……パイロットの君の体調の方が優先される」
「大丈夫だよ? 僕はもう本調子だから」
昨夜確認したでしょう?
にっこり笑って言われたティエリアが頬を染めたのを、沙慈はうっかり見てしまい、あの彼が、いつも偉そうな物言いばかりする彼があんな顔をするなんて、ちょっとどころじゃなくびっくりした。
けれどすぐにそれに気付いた彼に鋭く睨みつけられて、沙慈の腰が引けた。
さらにじいっと言葉もなく睨まれて、何故か段々居心地が悪くなってきた沙慈は、う、と少し後ずさりした。
「あ、あの……っ僕は、これで……」
「え、あ、そうだ、君」
「失礼します!!」
いたたまれなくなって沙慈はその場から逃げ出した。
00ガンダムを整備中のイアンの所にたどり着き、驚きのあまりの勢いのままにかくかくしかじかティエリアの照れ顔について報告し、彼らの仲について忠告されてさらに驚くのは、それから十分後のことであった。
「……とりあえず、何か調子が狂う人(たち)ですね……」
「ああ……すぐ慣れるさ……」
慣れたくないなあ、そう思いながら沙慈は己の行く末について改めて不安を感じ始めていた。
(書きたかったもの=自分の機体を整備できるアレルヤ&アリオスにも詳しいティエリア)
(に、整備絡みで沙慈もプラス)
(何故か、沙慈視点になっていました)
(沙慈、初書きなんですけど!)
(結局はアレティエが書きたかったので、戦争論についてはあまり突っ込まないで書きました……)
反政府組織への内通者として疑いをかけられ拘束された沙慈が、どさくさ紛れに刹那に助けられ、ソレスタルビーイングの母艦に乗せられてから数週間が経つ。
しばらくは艦内の一室に閉じ込められていた沙慈であったが、数日前から『働かざる者食うべからず』の文句の下に、チーフメカニック、イアン・ヴァスティに下働きとして使われていた。この艦は少数精鋭、と聞こえは良いが、どうやら、人手不足であるらしい。
しかし、だからと言って秘密組織の中心部であるガンダムの作りを部外者である沙慈に見せてしまうなんて、一体どういう危機管理意識なんだろう。心配、というか、不安になった。
……もしかしたらこのまま組織に引きずり込むつもりか、と最初身構えたものの、イアンは気のいい笑顔でそんな不安を否定した。
実際、沙慈が見ているレベルのデータは、連邦軍の所持しているジンクスシリーズのそれとほとんど変わりはない。しかし、このガンダムという機体は本来ならば今の時代を何歩も先を行く理論に基づいて作られていた。技術屋として、興味を惹かれないわけはなかった。
ソレスタルビーイングに手を貸すつもりはない、けれど一方的に助けられただけだなんて、それこそ面白くない。
そう考えて、沙慈はメカニックの卵、のような仕事をするようになっていた。
それは、ガンダムマイスター最後の一人を救出するための大掛かりな戦闘から三日ばかり後のことだった。
初めて実戦で使われた白とオレンジのガンダムの現在の状態を見て来いと何とも大雑把な指示を受け、沙慈はコンテナへと向かった。
アリオスの名を持つ彼のガンダムは、ガンダムで唯一変形機構を持っている。沙慈は人型の状態しか知らないが、それでも『変形』というキーワードに沙慈の少年心はくすぐられていた。
現在の機構から変形するならば……勝手に頭の中でいくつもの公式を組み合わせ想像しては、(違う、僕は今の状態を楽しんでなんかいないんだ!)と何度も頭を振っていた。
今日もそんなことをしながら、目的の機体へと向かっていく。
けれど今日はそこへたどり着く前に、沙慈は一旦足を止めた。
「そこで何をしているんですか?」
アリオスガンダムの前には、見慣れない人影があった。
背の高い男性の後ろ姿。オレンジ色の制服を身にまとい、ハロの一つと繋いだ端末をチェックしている。
目立つオレンジ色――基本的にソレスタルビーイングの制服は女性は自分の好きな色、男性はシンプルな灰色、ただしガンダムマイスターだけは自分のパーソナルカラーを身にまとう。
ということは、この人は、ガンダムマイスター。
そう思うと同時に沙慈の声は険を含んだ。生粋の技術屋であるイアンなんかはまだしも、マイスターは直接戦いを行う、沙慈にとって憎むべき存在だった。戦うことしかできないと言った刹那も、顔を合わせるたびに綺麗な顔から厳しい言葉しか吐かない紫色のマイスターも。
だから、初めて見るマイスターにも、その嫌悪を露にしてしまっていた。
けれどそんなことは知らないその人は、沙慈の声に応えるように、自然にこちらを振り向いた。
(うわあ……)
途端、沙慈は及び腰になった。
振り向いた男性は背が高く、がっしりとした身体つき。しかも冷たそうな顔立ちに、細く鋭い目を持っていた。
はっきり言って、怖い。刹那よりも数段強そうな雰囲気だ。
けれどそう思ったのも束の間、その男性はふっと表情を和らげて沙慈に笑みかけた。
「君は、新しいメカニック?」
それは、外見から思うよりも高く柔らかい声だった。意外に思いながらも沙慈は反射的に答えていた。
「違います!」
「そうなの?」
「僕は……ただ、手伝ってるだけで……」
それも嫌々、とぼそぼそ付け加えると彼は不思議そうな顔で沙慈を見てきた。
そして何かを思い出したように頷いて、
「あ、そっか……ティエリアが言っていた、刹那が最初に連れてきた『拾い物』って、君のこと?」
「……物、じゃないです」
「あ、ごめんね」
「……いえ……」
…………何だ、この人。
第一印象『怖い』だった人なのに、あっさり謝られた。
しかもふにゃりと笑われては、何だかおかしなことに場にほのぼのした空気まで流れ始めてしまったではないか。
いや違う、相手はガンダムマイスターなんだ。
思わず気が抜けそうになった沙慈は、慌てて気を引き締め直して、アリオスへと歩み寄った。
オレンジ色の制服の彼が持つ端末には、整備を介してハロの収集した機体データが流れていた。
「……あなたも、ガンダムに乗るんですか」
つい聞いてしまったのは、相手が思ったより怖くなさそうだったから。顔に似合わず、話しかけやすい空気を持っていたから。
「うん」
「戦うんですか」
「うん」
「……僕は、戦いは嫌いです」
「……うん」
僕も。さりげなく目を伏せた彼は、小さく呟いた。
「だったら! 何で戦うんですか」
「……守りたいもの、取り戻したいものがあるから、かな」
「それは、戦わないといけないものなんですか!?」
「もしかしたら他の方法もあるかもしれないけれど。でも、僕には戦う以外はないんだよ」
「それは……おかしいです」
「……君は、出身は?」
「日本です」
「そっか。平和な国だね」
「けれど、僕の平和は、僕の大切な人たちは、ガンダムのせいで奪われたんだ!」
その言葉に彼は顔を上げた。少し目を見開いて、次いで、哀しげな顔になった。
何で。それ位分かって、だからガンダムに乗っているはずなのに。
その顔つきに沙慈の憤りが、揺らいだ。
「……そう」
彼はそれだけをやっとのように吐き出して、端末に目を戻した。そんな彼に、沙慈はぽつりと呟いた。
「……あなたも、刹那と一緒なんですね」
戦う以外自分にはないと言った彼と同じ。
そう言い捨てて沙慈はアリオスの機体に触れた。
戦うためのガンダム。改めてその存在への複雑な感情が滲み出てくる。
けれどその背中に、気弱そうな、けれど芯の通った声がかけられた。
「君は、平和な世界で育って戦いの世界を知ったんだね」
「え」
「けれど刹那や僕はその逆に、戦うことしか知らないで育ってから平和な世界に触れた。けれどその平和は、いつ戦いに陥るか分からないものだった。だから戦争をなくすため、僕らは戦うんだ」
「……でも、戦えばそれだけ平和が消えていきます」
「……そうだね」
これ以上は水掛け論にしかならないね、彼は寂しげに目を伏せて、沙慈から目を逸らした。
その目は、左右で色違いだった。
綺麗な色だった。
見惚れそうになった沙慈は目を逸らして、機体状況の確認に集中することにした。
けれど、すぐに彼から問いかけが投げかけられた。
「……ねえ、ちょっといいかい?」
「……何ですか」
さっきの話の続きか、身構えて沙慈が硬い声で返せば、
「ここの、E回路からG回路に繋がる部分なんだけど」
「……は?」
「パーツとパーツのバランスが最良じゃない。どういう意味があるか、分かるかい?」
「…………ええと」
機体状況についての純粋な問いかけだった。さっきまでのやりとりの名残なく、真剣に問われて沙慈は戸惑った。
端末で指し示された部分は沙慈も見たことのあるデータだったけれど、それでもそんな細かい部分まで気にしていなかった。答えなんてイアンに聞かない限り分からない。
困って固まっていると、後ろから第三者の声がした。
「問題ない。飛行形態への移行を考えれば、その方が機体への負荷が少ない。タイムロスもな。いわゆる『あそび』の部分だ」
「ティエリア!」
その瞬間、目の前の彼の顔がこれまでの中で一番の笑顔に変わった。あまりの変わりように沙慈は唖然とした。その横を紫色のマイスター――ティエリアが呆れた顔で通過していく。そして彼はオレンジ色のマイスターの横に立つと端末を何度か操作してみせた。
「ああ……成る程。そういうことか」
「もっと自分の頭を働かせろ。君ならば少し考えれば答えにたどり着くはずだ」
「まだ、ぼけてるみたいなんだ」
「だったら、早く勘を取り戻せ」
「ティエリアはアリオスについても詳しいんだね」
「当然だ」
マイスターが揃わぬ内、各機のテストパイロットは全てティエリアがこなしていた。
アリオスについてはキュリオスのデータを元に、アレルヤの癖に合わせた調整を密かに加えていたりもしていた。そのため、アリオスに乗ってすぐにアレルヤは以前と遜色ない操縦を行うことができたのだった。
「それにしても、君にはまだ休んでいるように伝えてあったはずだが?」
「けれど、これからいつ何があるか分からないから。自分の機体は把握しておかないと」
「それはそうだ、が、……パイロットの君の体調の方が優先される」
「大丈夫だよ? 僕はもう本調子だから」
昨夜確認したでしょう?
にっこり笑って言われたティエリアが頬を染めたのを、沙慈はうっかり見てしまい、あの彼が、いつも偉そうな物言いばかりする彼があんな顔をするなんて、ちょっとどころじゃなくびっくりした。
けれどすぐにそれに気付いた彼に鋭く睨みつけられて、沙慈の腰が引けた。
さらにじいっと言葉もなく睨まれて、何故か段々居心地が悪くなってきた沙慈は、う、と少し後ずさりした。
「あ、あの……っ僕は、これで……」
「え、あ、そうだ、君」
「失礼します!!」
いたたまれなくなって沙慈はその場から逃げ出した。
00ガンダムを整備中のイアンの所にたどり着き、驚きのあまりの勢いのままにかくかくしかじかティエリアの照れ顔について報告し、彼らの仲について忠告されてさらに驚くのは、それから十分後のことであった。
「……とりあえず、何か調子が狂う人(たち)ですね……」
「ああ……すぐ慣れるさ……」
慣れたくないなあ、そう思いながら沙慈は己の行く末について改めて不安を感じ始めていた。
(書きたかったもの=自分の機体を整備できるアレルヤ&アリオスにも詳しいティエリア)
(に、整備絡みで沙慈もプラス)
(何故か、沙慈視点になっていました)
(沙慈、初書きなんですけど!)
(結局はアレティエが書きたかったので、戦争論についてはあまり突っ込まないで書きました……)
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