だらだら日記
基本的に結構カオスなつれづれ日記。同人耐性のない方はご遠慮ください。
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僕が君に触れるまでの距離。3
あてどなくただアレルヤがぐだぐだ考えているアレ→ティエ話です……。
僕が君に触れるまでの距離。3
「お、お前ら何話してんだ?」
ロックオンは何の気兼ねもなく僕とティエリアに声をかけてきた。
声の様子からして本当に悪気はないんだろう。
それは、ティエリアが立ち話をしているなんて珍しい。だから、ロックオンがこの会話に加わってみたいと思うのはおかしくない。
と、そうは思うけれど、……ああもう、何でこんなに間が悪いんだろう、折角ティエリアと二人だけで話せていたのに。
さっきまでの浮かれた気分はしぼんでしまい、僕はつい、不満そうな顔をロックオンに向けそうになって、けれど何とか表情を取り繕った。
彼が悪いんじゃないってことは分かっている。刹那だって見ているのに、子供じみた所を見せたくはなかった。
それに、彼らの登場に僕が少しほっとしているのも否めなかった。やっぱり、ティエリアと二人だけで話すのには緊張していたんだ。
それに、ロックオンがいれば、うっかり変なことを言ってもフォローしてもらえそうで、……でもそんなことを考える自分は嫌で、それにやっぱり、……ロックオン、間が悪い……。
だって、さっきまで僕だけを見ていてくれたティエリアの目は、今や闖入者二人(とハロ)に向けられていて、さっきまでの無表情は不機嫌な無表情に変わっていた。別に僕と話しているのを邪魔されたからではない。ただ単に、そりが合わない刹那の登場が不快なんだろう。
無意識の内に僕が吐いた溜息をどう解釈したのか、軽く眉を上げたロックオンはそのまま僕らの方へ近付いてきた。刹那も渋々その後ろについてくる。何かの約束でもしているんだろうか、なんて、気分が冷めた僕は冷静に考えたりしていた。
「ティエリア、アレルヤをいじめてんじゃねえぞ?」
彼らしい、年下をからかうような口調。
ロックオンは、もしかしたら僕が緊張していたからティエリアに何か小言を言われているとでも思って助け舟を出してくれたのかもしれない。
けれど、観察眼鋭い彼のその事実認識は今回に限っては間違っていて、ティエリアはむっとしたようにロックオンを見上げた。
「何を言っているのか分かりません。先程のシミュレーションについて意見を交わしていただけです」
「さっきミーティングしたばっかじゃねえか。よくやるよなあお前」
「貴方がそんな態度でどうするんですか、ロックオン・ストラトス」
「お前はもっと肩の力抜いておけって」
そう言うと、ぽん、ロックオンは軽い調子で、簡単に、ティエリアの肩に手を置いて。
「――っ!」
それをティエリアが振り払うよりも早く手を引いたロックオンは、続いて刹那の頭をがしがしと撫でた。
「な、刹那ー? お前もそう思うだろー?」
「! 俺に触れるな!」
思い切り刹那が嫌がるのを楽しそうに見ながら、ロックオンはその動作を止めない。
憮然としたティエリアは、けれど刹那が先にロックオンに怒ったから、そんな刹那と同じ反応をするのが嫌だったんだろう、何も言わずにふい、と向こうを向いてその場から離れようとした。
あ、僕は思わず手を伸ばしてその腕を掴んで引き止めようとして。
けれど、その手は宙に浮かんだままで止まった。
「? どうしたアレルヤ」
「……何でも、ありません」
不思議そうなロックオンに、何とか笑みを浮かべて言葉を返す。
けれどそれはやっぱり不自然だったんだろう。何かおかしいと、ようやく勘付いたのか、ロックオンは僕に気遣うような顔になった。
「……お前さんが困ってるように見えたから声をかけたんだが、余計な世話、だったか?」
「そんなこと、ないですよ」
そんな彼に、僕はこんな答えしか、返せなかった。
それでも、失礼します、それだけは言って、僕はその場を離れていった。
僕にはロックオンのように、ティエリアに気軽に触れることは、出来なかった。
訓練の時なんかはともかく、平時はティエリアは他人に触れられることは好かないようだったから。
さっきだって、ロックオンの手を振り払おうとした。
振り払われようと、怒りを向けられようと構わない、そんなロックオンみたいな強さは、僕にはない。
振り払われるのが怖いから、だから触れられない。
(おっまえなあ、さっき振り絞った勇気とやらはどっこに行ったんだよ?)
さっきので今日は品切れだったんだよハレルヤ。
そんな言い訳ばかりして、そんな自分に心底嫌気が差してきた。
酷く憂鬱な気分になりながら、気付いた時には自室の前に辿り着いていた。
(つづく……の??)