だらだら日記
基本的に結構カオスなつれづれ日記。同人耐性のない方はご遠慮ください。
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夜中の勢いで(稲妻)
夜中の勢いで。
円風小話。
多分、FFIアジア予選中の合宿辺りの話。
「ん…………あ、れ……?」
やけにぼやけた目を何度か瞬かせれば、ぼんやりとして見えた部屋の光景が徐々にはっきりしていく。
それと共に靄がかったようだった思考も少しずつ巡り始めて、それでもまだはっきりしない中で風丸は「ここは自分の部屋だ」ということだけを認識した。
そして、同時に、自分の隣に寄り添う体温を感じる。
円堂だ。
ああ、そういえば寝る前にちょっとだけ、と円堂が部屋に来たんだっけ。
それで、色々と――練習のこととか、他の他愛もないこととか、練習の疲れもあるから当然眠気もすぐにやってきて、それでももう少しだけ、と欠伸を噛み殺しながら話している内に――どうなったのかは、覚えてない。
多分、そのまま眠りに落ちてしまった、んだと思う。
いつもならば、眠ってしまいそうならば円堂に自分の部屋へ帰るように促すんだけれど、そうした覚えはないから、多分自分の方が先に。でも、多分、円堂もそのすぐ後に。
そうして気付けば狭いベッドの上に二人並んで、それこそ息がかかるほど顔近く。けれど、いつもならば覚える羞恥も今は感じず、近くある体温が何だか心地よい気がした。
時計を見ればもう夜中の一時を回っている。煌々とした灯りを消し忘れたままだったから、そんな時間だとすぐには実感できなかったけれど、建物の中に漂うしんとした空気が何となしに肌に感じられた。
明日も朝は早い。そう思うと重い瞼がすぐに落ちかける。それでも、肌に感じた涼しさにせめて何か上にかけないと、思いのろのろと身体を起こして毛布を引きずり出した。ぐっすり眠ったままの円堂に毛布をかけて、その端っこに自分ももぐりこむ。ついでに解けかけだった髪ゴムをとって、枕元において目を閉じかけて、そうだ、電気を消さなきゃ、と改めて瞳を開いて壁際に手を伸ばす。
「ん……」
その時、円堂が寝返りを打った。むにゃ、とか、ぐう、とか意味のなさない言葉を呟いて、けれどそのまま眠ったままで。けれど少し顔を顰めるのは、部屋が明るいせいもあるだろう。
それでも、それを差し引いても、幸せそうな寝顔。
気の抜けた、間抜けと言ってもいい寝顔を見ていると、自然と胸が温かくなった。じんわりと胸に浮かんでくるのは、幸せな感情。
(ああ、好きだなあ)
いつもならば言葉にした直後に恥ずかしさを感じるはずの言葉、けれど今は眠気も相まってか、自然と素直に思い浮かべられた。
そしてそのまま電気を消すと、その隣に横たわる。
そっと、腕に触れて、肩に触れて、頬に触れて――小さく、すきだ、と口に出して呟いて。
そして、再び目を閉じる。
すると、さっきの言葉に答えるように、そっと自分を包んでくる温もりを感じて。
小さく、微笑みながら。
幸せな、眠りの中に、落ちていく。
そんなある夜の、小さなお話。
(タイトルのままに夜中の勢いで打った話でした)
(何を書きたかったかなんて、そんなの可愛い円風としか言えない)