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だらだら日記

基本的に結構カオスなつれづれ日記。同人耐性のない方はご遠慮ください。

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好きから始まるエトセトラ 4

何だかとっても間が空いてしまったのですが、主リウっぽい話(一応)最終話。
勢いのままに書いてきたものなのですが、何かもう、すっごーく、こう、もじょもじょな感じの話になっています。
もじょもじょもじょ。
青春とはもじょもじょなものなんですねきっと。

……やっぱり、連載する時は間を空けては行けないのだと身に染みて思い出しました。

   好きから始まるエトセトラ~はじまり~

「ずりいぞ! ジェイルばっか好きだって言われて!!」

タイガがその場に駆けつけた時、リウはジェイルに抱きついて「好きー」とか何やら言っていた。
それを聞いた瞬間、タイガの中で何かが弾けたような気がして、気付いたら思い切りそう叫んでいた。
しかも何だか胸がむかむかしていて、けれどそれが何でだかなんてタイガには分からないし考えもしなかった。

「タイガ……」
「ちょっと待て」

気まずげな顔でリウはジェイルからそろそろ離れた。そしてその場から逃げ出そう、とする気配を察したジェイルがその首根っこを押さえてひとまずその場に留めさせたのだった。

「わ、ジェイル放してーっ!!」
「逃げても何にもならないだろう」
「うう」

そんなことは分かっていた。その上で逃げ出したかったのに!
情けなく肩を落としたリウに、ジェイルは掴んだ手を放すと代わりにぽん、と肩を叩いた。
その何気ない仕草に、一人ではない心強さを感じたリウは、思い切ってタイガと顔を合わせた。
――見たことのない目を、していた。
武術の訓練の時の、ディルクに挑む時の真剣な目に似ている。けれどあの時ほどに楽しむ目ではない。
怒りのようでそうでなく、悲しみなどではありえない。
嫉妬。そんな言葉に思い至るほどに、リウは世慣れてはいなかった。
そんな、見慣れぬ目のままにタイガは真剣に訊いて来た。

「リウ! オレのことは?」
「へ、へ?」
「オレのことは、好きか?」

……何この状況誰か助けてマリカ様シスカ様。
心の中でそう唱えるも、頼れる女性陣はこの場にはおらず、代わりに退路を塞ぐジェイルと、目の前に詰め寄るタイガだけ。あとは近くでめぇと鳴くヤギの声が長閑だったけれどそれに癒されてる状況ではなかった。

「言えよ、リウ」

言って、タイガは一歩詰め寄った。
リウは顎を引いて身体をちょっと退いて、それでも、もう逃げ出さなかった。逃げちゃいけない時だって、それ位は分かっている。
好きって。本当は言ってしまえばいいんだ。
だってタイガのことはほんとに好きなんだ。一緒にいて楽しいし、大事な仲間だって思ってる。
けれどそれが、きっとあの夜より前ならば言えた筈の『好き』という言葉が、けれど今では簡単に言える『好き』じゃなくなってるって、今の自分には自覚できてしまっていて。
それは、そんなに軽い言葉じゃない。色々な、本当に色々な、わけの分からない感情がくっついてきてしまうようで、それを思うと胸が、顔が熱くなって、どうしようもなくなってしまう。
だから喉の奥に詰まって、外に出てきやしないのだ。

「リウ」
「!」

手を、伸ばされて。腕を、掴まれた。
振り解こうとしたそれは、思ったよりも強い力で握り締められて解くことができない。
逃がさない。そんな強い意思を感じてリウは必死に口を動かした。

「た、タイガはっ!?」
「あ?」
「タイガは、オレのこと……っ」

時間稼ぎに過ぎないと分かっている。それでも、少しでも話をそらしたくて、投げかけた問い。
それにタイガはあっさり答えるだろうと思ったのに、目の前の顔は難しそうに眉を寄せた表情となり、何か考えるようにして、タイガは口を開いた。

「リウが言ったら言う」
「んな!」
「だから」

「言えって」

――真正面から銀灰の目に射すくめられて、一瞬何も考えられなくなった。
頭が考えることを放棄した。
そしてリウは観念したように、喉の奥から声を絞り出した。

「……好き、だよっ」

言うと同時に顔を地面の方に下がっていった。耳の奥に煩い鼓動の音を聞く。
顔から火が吹くかと思った。
それでも吐き出してしまえば、すっきりしたような気持ちもする。
後はどうとでもなればいい。
そう、思っていたら、目の前の少年の腕が、がばり、自分の肩を抱いてきた。

「そうか!」
「わ!」

嬉しそうなタイガの声。顔を上げてみると、わくわくした目の、嵐を待つ夜と同じ目をしたタイガが、タイガらしい表情をしたタイガがそこにいて。
そして本当に嬉しそうに、言うのだった。

「オレもリウのこと好きだぞ!」

その笑顔が、本当に、嬉しく見えて。

「……うん」

……ああもう、難しく考えるのはもう、いいや。
タイガがこんな顔をしているのが、やっぱり、結構、好きなんだし。
……こーしてるのも、触られるのも。恥ずかしいけど嫌じゃないし。
そんな、ある種の境地に達しようかとしていた時に、その耳に。

「……オレも、好きだぞ」

便乗するようにジェイルも呟くのが聞こえた。
そこでやっと、ジェイルがそこにいたことを思い出したリウは、頬を引きつらせて振り返った。
同じくそちらに目を向けたタイガは、笑顔のままであっけらかんと言葉を返す。

「お、ジェイル! ジェイルのことも好きだからな!」
「あはは……」

そんなタイガの言葉に、リウは何だか疲れて乾いた笑みを漏らして。
――とくん。胸の奥に生まれかけた、小さな、けれど嫌な感情には、気付くことはまだなかった。



いまだ始まらない何か。
始まりかけている何か。
全ての始まりは、一言の。

好きから始まるエトセトラ。



(何だろうこの恐ろしくもじょもじょする話は! すっごくこっぱずかしい!!)
(何が恐ろしいって、ここまで来ていまだ二人が無自覚なところなのですが、実は最初からこの話、二人がくっつくことはまだないだろうな~どっちかが自覚するのがせいぜいだよな~と思いながら書いていた話なので当初の思惑通りだったりします)
(まあ、リウが少し意識し始めたかなってところですかね)
(主人公君は……読めません・苦笑)
(お付き合いいただいた方はありがとうございました)
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