だらだら日記
基本的に結構カオスなつれづれ日記。同人耐性のない方はご遠慮ください。
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はっぴー・でいず!
……どうしてこのカテゴリが「小話(ティアクラ)」ではなく「小話(幻水)」なのか。
こういう時(※)のためにです。
ということで、思いついちゃった幻水・坊ルク小話です!
(※こういう時=ティアクラ以外の幻水小話を書く時)
サイトにある「Happy Days」の頃のお話。
ゲームで言うと2と3の間、ルックが塔でレックナート様とちっちゃいセラと一緒に暮らしている所に、ひょこひょこ風来坊と化した坊ちゃん(シオン)がしょっちゅう訪ねてきている、っていう設定でのお話です。
うちの設定ではこの頃はまだ坊ルクじゃなくて坊+ルックなのですが、まあそこら辺は気にしない気にしない。
今時うちのサイトに坊ルク目当てでいらしてる方がいるかどうかも不明なのですが、そこら辺もキニシナイ。
基本的に、書きたいものを書きたいときに書くのがうちのスタンスです。
というか本当坊ルク大好きなんだよまだまだ。
書き始めたら思ったより長くなりまくったよ……。
興味がある方はつづきへどうぞ……。
こういう時(※)のためにです。
ということで、思いついちゃった幻水・坊ルク小話です!
(※こういう時=ティアクラ以外の幻水小話を書く時)
サイトにある「Happy Days」の頃のお話。
ゲームで言うと2と3の間、ルックが塔でレックナート様とちっちゃいセラと一緒に暮らしている所に、ひょこひょこ風来坊と化した坊ちゃん(シオン)がしょっちゅう訪ねてきている、っていう設定でのお話です。
うちの設定ではこの頃はまだ坊ルクじゃなくて坊+ルックなのですが、まあそこら辺は気にしない気にしない。
今時うちのサイトに坊ルク目当てでいらしてる方がいるかどうかも不明なのですが、そこら辺もキニシナイ。
基本的に、書きたいものを書きたいときに書くのがうちのスタンスです。
というか本当坊ルク大好きなんだよまだまだ。
書き始めたら思ったより長くなりまくったよ……。
興味がある方はつづきへどうぞ……。
――夢から覚めるというのに、それでも尚その灰色に追いかけられてくるような気がした。
Happy Days 3
今日も、嫌な夢を見た。世界が何も動かぬ灰色に変わる未来の夢。いつもながら気分が悪い。
それでもここでは自分以外に朝食を作ろうという者はいない、というか他の誰かにここの台所を使わせる気もないので(何せ今この塔にいる誰が使っても後始末が大変になるのは分かりきっている)、ルックは少し痛む頭を押さえて台所に立った。
とんとん、包丁を動かし、ことこと、鍋を火にかける。そうするといくらか気分が紛れてくる。
徐々に食事の良い香りが立ち込め始め、それに惹かれたのか、数日前からこの塔に滞在中の男が眠そうに欠伸をしながら、それでも「おはよう」と言って台所に入ってきた。
「おはよう」
「今日は早いなー? セラもまだ起きてないのに食事の準備完璧じゃないか」
「……ああ。しまった」
塔の主レックナートはいつ寝ていつ起きているのか弟子であるルックでさえいまだリズムがつかめないので数に入れないが、この塔に住むもう一人の小さな少女はルックと一緒に朝食を取る。
いつもは彼女が起きる時間も考えて他の家事を済ませたりしながら朝食を作り出すのだけれど……今日はうっかり失念してしまっていた。
それだけ、嫌な夢だったのだ。何度も見た夢にも関わらず、今日こそ世界に絶望してしまうような、そんな気になってしまいそうな夢。
それでも、起きてしまえば、日常に触れて、そしてこうしてシオンと言葉を交わし始めてしまえば、夢の気配は遠くなる。それは一時の紛らわしと分かっているけれど、それでもまだ、この世界に絶望はしていないと思えた。
とはいえ、セラのことを忘れてしまうなんて! それこそルックには絶望的なことだった。
苦虫を噛み潰したような顔をしたルックを見て、けれどシオンはそれを笑い飛ばした。
「ルック、たまに抜けているよな」
あはは、と笑う。
それは、普通の笑顔だった。こうして他愛もないことを話すことが楽しくて、零れ落ちた笑み。
けれどそれに、ルックはふと、疑問を覚えた。
自分は、彼のようには笑えない。
「何であんたは笑えるの?」
「んー?」
「何で、そんな風に笑えるの」
今でこそこんな風に太平楽に見えるけれど、シオンは途轍もなく重いものを背負ってきていた。
親友を失い、父をその手にかけ、それでもなお戦い続けた過去。
そして、いまだ彼の右手に巣食う呪いの紋章。
それはルックが背負う物と比べられはしないけれど、それでも一時期彼から笑顔が消えていたのをルックは傍で見ていた。今でも時折、人知れず昏い瞳を見せるときがあることも。
けれどそれに何度も押し潰されそうになりながらも、シオンはこうして明るく笑う。笑うことが出来る。
んー。
考える振りをして、ひょい、とルックの後ろから朝食のおかずをつまみ食いして、行儀悪く口をもごもごさせながらシオンは簡単に答えた。「こら」叱ったルックに対しては、勿論、笑って。
「ルックの作るご飯が美味しいから、かな?」
「たったそれだけで?」
「大切だと思うけど」
「……」
「辛いことがあっても、泣き疲れたら腹は減るし、食事をしたら少しは元気になれる。それに今の俺は独りじゃないし、こうやってルックと話してるのは楽しいし、ここに来るたび美人になっていくセラを見ているのも楽しみだし。これはもう、笑うしかないんじゃないか?」
簡単に言ってのけたそれはきっと、本当。
けれどそれに少し尖った気持ちで――ああ、まだ夢の名残が残っていたのかもしれない――ルックの口は勝手に動いてしまっていた。
「……きっと僕がいなくなっても、あんたは笑ってるんだね」
「……ルックらしくない、な」
淡々と言われた一言。ちくり、と胸に刺さった。分かっている。こんな女々しいこと。いつもの自分ならば口にしない。
再び沈みかけたルックに、シオンはまたひょい、とつまみ食いをして、それをごくん、飲み込みながら、答えた。
「追いかけるさ、その時は」
「じゃあ僕が死んだら?」
「死なせない。俺が持てうる力全てを使って」
「……何で、そこまで」
僕は、正しい人間じゃないのに。
心の中で呟いて、ちくり、それは自身に痛みをもたらした。
けれどそれを分かってか、シオンは真剣な顔になった。けれど口元に自信の笑みをたたえたまま。それは、『英雄』らしい笑み、瞬間見惚れそうになってしまう位のもの。
「ルックのことが、大事だから」
「な……っ」
それは、いつもの軽口ではなかった。それが分かってしまって、ルックは慌てた。何だかこの場から逃げ出したくなる。
けれどシオンは言葉を重ねた――恥ずかしい、言葉を!
「お前みたいな奴、他にいない。だから」
「は、恥ずかしいこと言うなっ!」
「お、照れた?」
「馬鹿!」
「顔赤い」
「~~~~切り裂」
「どうしましたの、ルック様、シオン様?」
そうして二人騒いでいた所に、可愛らしい少女の声が挟み込まれてきて、二人は揃って振り返った。
「セラ!」
いつの間にか彼女の目覚める時間になっていたのだ。綺麗に身なりを整えたセラは台所の入り口で不思議そうな顔をしていた。
「おはよう、セラ」
「おはようございます、シオン様。ルック様も」
「ああ、おはよう。……シオン、朝ご飯にするよ。とっとと机拭いてお皿並べて!」
「はいはい~」
いつの間にか、その場には昨日と同じ朝の光景。
セラがいて、シオンがいて、塔の何処かにはレックナートもいるだろう。
光に満ちた今の時間は、灰色とはほど遠くて。
嫌な夢の余韻は、すっかり消し飛んでしまっていた。
(久しぶりに書いたから不思議な感じ……だけどやっぱりルックもセラもシオンも好きだよ……!)
Happy Days 3
今日も、嫌な夢を見た。世界が何も動かぬ灰色に変わる未来の夢。いつもながら気分が悪い。
それでもここでは自分以外に朝食を作ろうという者はいない、というか他の誰かにここの台所を使わせる気もないので(何せ今この塔にいる誰が使っても後始末が大変になるのは分かりきっている)、ルックは少し痛む頭を押さえて台所に立った。
とんとん、包丁を動かし、ことこと、鍋を火にかける。そうするといくらか気分が紛れてくる。
徐々に食事の良い香りが立ち込め始め、それに惹かれたのか、数日前からこの塔に滞在中の男が眠そうに欠伸をしながら、それでも「おはよう」と言って台所に入ってきた。
「おはよう」
「今日は早いなー? セラもまだ起きてないのに食事の準備完璧じゃないか」
「……ああ。しまった」
塔の主レックナートはいつ寝ていつ起きているのか弟子であるルックでさえいまだリズムがつかめないので数に入れないが、この塔に住むもう一人の小さな少女はルックと一緒に朝食を取る。
いつもは彼女が起きる時間も考えて他の家事を済ませたりしながら朝食を作り出すのだけれど……今日はうっかり失念してしまっていた。
それだけ、嫌な夢だったのだ。何度も見た夢にも関わらず、今日こそ世界に絶望してしまうような、そんな気になってしまいそうな夢。
それでも、起きてしまえば、日常に触れて、そしてこうしてシオンと言葉を交わし始めてしまえば、夢の気配は遠くなる。それは一時の紛らわしと分かっているけれど、それでもまだ、この世界に絶望はしていないと思えた。
とはいえ、セラのことを忘れてしまうなんて! それこそルックには絶望的なことだった。
苦虫を噛み潰したような顔をしたルックを見て、けれどシオンはそれを笑い飛ばした。
「ルック、たまに抜けているよな」
あはは、と笑う。
それは、普通の笑顔だった。こうして他愛もないことを話すことが楽しくて、零れ落ちた笑み。
けれどそれに、ルックはふと、疑問を覚えた。
自分は、彼のようには笑えない。
「何であんたは笑えるの?」
「んー?」
「何で、そんな風に笑えるの」
今でこそこんな風に太平楽に見えるけれど、シオンは途轍もなく重いものを背負ってきていた。
親友を失い、父をその手にかけ、それでもなお戦い続けた過去。
そして、いまだ彼の右手に巣食う呪いの紋章。
それはルックが背負う物と比べられはしないけれど、それでも一時期彼から笑顔が消えていたのをルックは傍で見ていた。今でも時折、人知れず昏い瞳を見せるときがあることも。
けれどそれに何度も押し潰されそうになりながらも、シオンはこうして明るく笑う。笑うことが出来る。
んー。
考える振りをして、ひょい、とルックの後ろから朝食のおかずをつまみ食いして、行儀悪く口をもごもごさせながらシオンは簡単に答えた。「こら」叱ったルックに対しては、勿論、笑って。
「ルックの作るご飯が美味しいから、かな?」
「たったそれだけで?」
「大切だと思うけど」
「……」
「辛いことがあっても、泣き疲れたら腹は減るし、食事をしたら少しは元気になれる。それに今の俺は独りじゃないし、こうやってルックと話してるのは楽しいし、ここに来るたび美人になっていくセラを見ているのも楽しみだし。これはもう、笑うしかないんじゃないか?」
簡単に言ってのけたそれはきっと、本当。
けれどそれに少し尖った気持ちで――ああ、まだ夢の名残が残っていたのかもしれない――ルックの口は勝手に動いてしまっていた。
「……きっと僕がいなくなっても、あんたは笑ってるんだね」
「……ルックらしくない、な」
淡々と言われた一言。ちくり、と胸に刺さった。分かっている。こんな女々しいこと。いつもの自分ならば口にしない。
再び沈みかけたルックに、シオンはまたひょい、とつまみ食いをして、それをごくん、飲み込みながら、答えた。
「追いかけるさ、その時は」
「じゃあ僕が死んだら?」
「死なせない。俺が持てうる力全てを使って」
「……何で、そこまで」
僕は、正しい人間じゃないのに。
心の中で呟いて、ちくり、それは自身に痛みをもたらした。
けれどそれを分かってか、シオンは真剣な顔になった。けれど口元に自信の笑みをたたえたまま。それは、『英雄』らしい笑み、瞬間見惚れそうになってしまう位のもの。
「ルックのことが、大事だから」
「な……っ」
それは、いつもの軽口ではなかった。それが分かってしまって、ルックは慌てた。何だかこの場から逃げ出したくなる。
けれどシオンは言葉を重ねた――恥ずかしい、言葉を!
「お前みたいな奴、他にいない。だから」
「は、恥ずかしいこと言うなっ!」
「お、照れた?」
「馬鹿!」
「顔赤い」
「~~~~切り裂」
「どうしましたの、ルック様、シオン様?」
そうして二人騒いでいた所に、可愛らしい少女の声が挟み込まれてきて、二人は揃って振り返った。
「セラ!」
いつの間にか彼女の目覚める時間になっていたのだ。綺麗に身なりを整えたセラは台所の入り口で不思議そうな顔をしていた。
「おはよう、セラ」
「おはようございます、シオン様。ルック様も」
「ああ、おはよう。……シオン、朝ご飯にするよ。とっとと机拭いてお皿並べて!」
「はいはい~」
いつの間にか、その場には昨日と同じ朝の光景。
セラがいて、シオンがいて、塔の何処かにはレックナートもいるだろう。
光に満ちた今の時間は、灰色とはほど遠くて。
嫌な夢の余韻は、すっかり消し飛んでしまっていた。
(久しぶりに書いたから不思議な感じ……だけどやっぱりルックもセラもシオンも好きだよ……!)
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