Twins 番外編～Happy Birthday～

二期本編後にティエリアとリジェネがヴェーダの中で一緒に暮らしてるシリーズ略してTwinsシリーズ（注：略せていません）
ティエリア誕生日バージョン！
昨夜から色々な所でティエリア祝われているの見てテンションアップ！
ということで勢いでSS書いていきます！
あ、一応アレティエ前提です。

このシリーズ、書いているうちにどんどんリジェネが可愛く見えてきました……。

届いたメールを開いて、ティエリアの思考の流れが一瞬止まった。

「？　どうしたの、ティエリア。そのメールが、何？」
「いや……」

打ち消す言葉を紡ぎながらもティエリアはそのメールを繰り返し確認する。
それをリジェネが不審に思っていると、次のメールが、その次のメールが……次々と届き始めた。
その全てをティエリアはゆっくりと開き、その文面を確認する。
そこには皆共通して、一つの言葉が含まれていた。

　　　――Happy Birthday.

『ティエリア、誕生日おめでとう！』
『どうせ自分では忘れているだろうからな。俺達で盛大に祝ってやるさ』
『ティエリア……おめでとう』
『アーデさんおめでとうなのです！』
『おめでとう。ティエリア』

それは、仲間達からの祝いの言葉。皆同じ一言を含み、後はそれぞれ個性的な文が連なっていた。
それにティエリアはくすぐったいような気持ちになって、ひとりごちる。

「全く、誰が言い出したんだか……」

12月9日。今日がティエリアの誕生日だと言うのは、ヴェーダから一時流出したデータだった。
すぐに抹消したはずのそれは、けれど見た者の記憶に残ってしまっていたらしい。
とはいえ、ティエリアの『誕生日』――その言葉は似つかわしくない気もする。
いつ『生まれた』か。それは曖昧なもので。
今日という日はただ単に『稼動を始めた』日でしかないはずだった。

けれど。

次々と降り注ぐ、おめでとうの言葉。
それが、年に一度のこの日を、本当に意味のあるものにしてくれる。
とはいえ、こんなに何人にも祝われるのは初めてのことだった。
ティエリアにとっての、これまでの『誕生日』の思い出は、たった一つ。
それは、去年の今日。
彼に、告げられた言葉。

――君が生まれて、こうして生きていることが、嬉しいから。
――ありがとう、ティエリア。

あの時が、最初だった。
今日を特別な日だと、意識したのは。

「でも、今日はあれからはまだ届いてないみたいだね？」
「リジェネ、覗き見るな」
「だってメールがここまで届くルートは僕にも見えちゃうんだもん。名前や中身までは見てないよ？」
「……今届いているのはプトレマイオスの皆からだ。どうせ艦の皆で企んだんだろう」
「……ふうん？」
「アレルヤのいる場所はこことは時差があるから。気付かないで寝ているに……」

違いない、と。
そう、言いかけている間に。
ぽん、とまた一つ。届いたメール。
その軌跡は確かに地球のある箇所からのもの。
それを受け取って開こうとするティエリアの挙動は、さっきよりも早かった。
けれどいざ、となると寸前でそれを止めて、少しの間動きを止めて。
大切そうに、そのメールを開いた。

「ティエリア、嬉しそうだねえ……」

リジェネの呟きも届いてはいないのだろう。
大切な相手からのメールを何度も繰り返し読み返す片割れを、リジェネはどこか羨ましそうに眺めていた。
けれどそれを自分で認めるなんてしない。代わりにつらつらと言葉を連ねだしていた。

「そんなに、嬉しいものなの？　分かんないなー。僕らに誕生日なんて意味ないのに。だって、ずっと変わらないんだし。僕の周りじゃだーれもそんなもの気にしていなかった、っていうか人間と同じようなイベントするわけないしね。大体、僕らが年に一回、一人のためにケーキ焼いてハッピーバースデーなんてやってたりしたら、そんなことがあったらむしろ笑いものだったよ！　ああ、想像してたら笑えてきた！」
「……リジェネ」
「何？」
「おめでとう」
「……は？」
「常々、君と僕とは同じ、と言っているだろうが君は。ならば誕生日も同じ、そういうことでいいだろう」

唐突なティエリアの言葉に、リジェネは不意をつかれた。
そして、それまで整然と流れていたはずの思考が、かすかに揺らめいて。
――その時の思考の揺らめきが何なのかは、分からなかったけれど。

「……君って本当に時々強引だよね……」
「リジェネ？」
「……はいはい、ありがとう、ティエリア……おめでとう」
「ああ、ありがとう」


（ティエリア誕生日おめでとう！　そしてリジェネも！！）