だらだら日記
基本的に結構カオスなつれづれ日記。同人耐性のない方はご遠慮ください。
[434] [433] [432] [431] [430] [429] [428] [427] [426] [425] [424]
[PR]
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
僕が君に触れるまでの距離。4
僕が君に触れるまでの距離。4
自分の部屋の前で、僕はもう一回大きく溜息を吐いた。それで嫌な気分を吐き出してしまう。
邪魔が入って終わったけれど、それでも、勇気を出した甲斐はあったんだよ、ハレルヤ。
二人きりで、ティエリアの機嫌を損ねないで、話すことができた。
それだけでも、嬉しかったんだ。
けれど、もっと話したいとか、……触れたい、とか。
次から次へと浮かんでくる欲求はきっと贅沢なこと。
一つ願いが叶えば自然と次を求めてしまう。それは際限がなくて、どうしようもないことなんだ。
だから胸にほんのり残った幸福感を抱いて、僕は部屋の扉を開こうとした。
その時。
「アレルヤ・ハプティズム」
え。
名前を呼ばれて、僕は驚いて振り返った。
そこには、ティエリアが、立っていた。
「ティ、ティエリア!?」
「? 何をそんなに驚くことがあるんだ」
「な、何で……部屋に戻ったんじゃ」
「先程の話が途中だっただろう? 続きをしに来た」
ハレルヤ! ティエリアが自分から話しかけに来てくれたよ!
ティエリアが当たり前のように言った言葉に、僕は一気に天にも昇る気持ちになった。
それがたとえミッション絡みの話だからだとか、ティエリアが中途半端を嫌うからだとか、そんな理由でも構いやしない。
だって、ロックオンと刹那の登場で不機嫌になったティエリアは、あのまま部屋に戻ってしまっても良かったんだ。
それなのに、わざわざ僕と話をするために来てくれたってことが、どうしよう、すごく嬉しいんだ。それだけ彼の興味を引くことが出来たっていうことが!
「どうした? 君の都合が悪ければ後で」
「そそそそんなことないよ! 今、話そう!!」
「……あ、ああ」
思わずどもってしまった僕に訝しげな顔をして、それでもティエリアは頷いた。
「だけど、ここで立ち話も何だよね……。そろそろ夕食の時間だし、食堂に行こうか?」
僕の提案に、ティエリアは首を横に振った。さっきみたいな他の人間の介入があっては煩わしいと思ってるんだろう、とすぐに見当がついた。
それじゃ、このまま廊下にいても誰かと鉢合わせする可能性があるし、艦内のどこに行こうとそれは同じこと。
ただ、プライベートスペースを除いては。
そして、今、僕らはどこにいるかというと、ここは、僕の部屋の前で。
「じゃあ……僕の部屋に来る……?」
その一言を口にするのに、どれだけの勇気が要ったことか。僕の心臓は制御できずに早鐘の大バーゲンだった。
きっとハレルヤが勇気を貸してくれたんだね、ありがとう!
そして僕の提案に、ティエリアはあっさりと頷いた。
「ああ。お邪魔する」
「え、いいの!?」
「何をそんなに驚くんだ。君が言い出したことだろう?」
「そ、そうだよね……」
ティエリアが僕に向けた視線は不快、というより呆れたものだった。
あはは、ごまかすように笑って僕は部屋のドアを開けた。
「ええと、じゃあ、どうぞ」
僕の横をすり抜けて部屋に入っていくティエリアを、夢みたいな気分で見ながら――だってティエリアが僕の部屋に来るなんて初めてだったんだ!――、自然と顔の筋肉が緩んでくるのを感じた。
(きっと馬鹿みてーな面してるぜ、今のお前)
うん、そうだね、ハレルヤ、だってすごく――幸せな気持ち。やっぱり僕って単純みたい。
「君も早く入れ」
「あ、うん!」
促されて(どっちが部屋の主だか分かんねえな!)部屋に入って、この思いがけない僥倖に、ふわふわ気分でドアを閉めて。
まだ、僕には君に触れるだけの勇気もなかったけれど。
それでも、少しだけ。
縮まったような気がした、僕と君との間の距離。
(結局触れなかったですね! 何だろうこの初々しさは……!! アレルヤが初心すぎだ……! むずがゆい……!!)
(こんなぐだぐだ話にお付き合いいただいた方はありがとうございます!)
この記事にコメントする
← 遙かクリア(忍人・遠夜) HOME かんちがい! →